岸辺の旅 | バツイチアラカンオヤジの映画日記

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観た映画やドラマ、その他について、基本的にネタバレ無しで!無責任に感想を書き留めていきます。あらすじはコピペせず自分なりの文章でボケ防止を図りっているので当てにならないかも?!

第68回カンヌ国際映画祭「ある視点部門」に出品され黒沢清監督が監督賞を受賞した一本。たまたまそーゆーメンタル状態だっただけなのかもしれないけれど、何かとても感動した!心に響いた作品でした。原作者の湯本香樹実を検索してみると以前観たことのある相米信二監督、三國廉太郎主演の「夏の庭 The Friends」の原作者でもあって何となく本作との共通点を感じて妙に納得しました(#^.^#)

夫の優介(浅野忠信)が失踪してから3年、妻の瑞希(深津絵里)が夫を探す為出来る事は全てやり切りただ待つだけになった頃、突然優介が帰ってきた。喜びや怒りを押し殺して冷静に優介を迎えた瑞希だったが自分は既に死んだ身だと説明する優介の言葉に混乱する。気持ちの整理がつかないまま瑞希は優介に言われるがままに思い出の地を巡る旅に出るが・・・

上手く説明できませんが、とにかく良かった!まず死者と旅をするその設定が面白かった。細かい演出も印象的で、優介が現れる時に瑞希が気配を感じて確信したり、優介が靴を脱ぎ忘れたり、壁一面に切り抜いた花の写真を貼ってある画だったり、ピアノを弾き終わった後の少女の笑顔だったり、生者と死者を分け隔てる森の中のモヤの様な描写だったりと印象的な演出が目立ちました。

演者もそれぞれ魅力的でヒョウヒョウとしている優介を演じた浅野忠信に妻への想い残しがある老人を演じた小松政夫、幼い妹に謝りたい姉を演じた村岡希美、夫の死を受け入れられない一児の母を演じた奥貫薫、出番は少なかったけれど蒼井優と深津絵里の静かな女の闘いのくだりは見ものでした(#^.^#)

ただ自分的にはこの作品は深津絵里の素晴らしい演技に尽きると思いました。勿論監督の演出手腕もあるのでしょうが深津絵里の表情や素振りから瑞希の感情、また優介がフッと居なくなってしまうんじゃないか?という不安や優介との再会、一緒に居られることの喜び、優介の云う何でもない女への嫉妬、優介が既に死者であることの諦めなどなどそれらすべてをひっくるめた瑞希の優介に対する強い愛が手に取るように伝わってきたように思えるんです(≧∇≦)

生者と死者、それぞれ双方にある筈の思い残し。この作品の様に解消することは出来ないと判ってはいても素晴らしい物語だなと強く心に残りました。ラストで浜辺にポツンと残された瑞希の描写にジ~ンときました(T_T)「区切りを付ける事を拒否していた」瑞希の前向きな心の変化もよく伝わってきた良いラストでした(#^.^#)

 

「岸辺の旅」 オススメ度 ★★★★

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