何かのせいにして納得したい。


自分でも分からない本音。


私は手応えだったり理由が欲しいのかもしれない。

当てずっぽうに真っ暗な迷路を転びながら動いているような。スタートに戻ったのかゴールに近づいているのかも分からない。


世の中には迷路のヒントはいっぱいあるのだろう。

きっと毎日強制的に耳に入ってくるのだろう。

どれも自分にはしっくりこないし、むしろ迷いは増えるばかり。自分に当てはまらないのは何故だろう。

この違和感は調度良い言葉で説明できない。


子供の頃からずっと感じる違和感。私はどの世界で生きてるんだろう。地面に足が着いていないような浮遊感だったり、同じ空間で話を聞いていても私には違う場所でドア越しに話を聞いている様だったし、音量や距離感を当たり前に感じていた。


人の話を聞いて理解するのはこんなに難しいのか、皆は何かしながら話を聞いたり何故できるんだ。どこかに私の状況に理由をつけて説明してくれる人がいて欲しい。もう51だし人生こじれまくっている。

頭も身体も劣化と鬱で社会的にNGだされ始めている。誰にも相談せず自ら引きこもって孤独になる人の気持ちなら分かる。説明するのが面倒、理解されなかった時にまた落ち込む。違うんだ!そこからの説明が大変過ぎるから。 


入院中の看護師に言われた

あなたは弱い、これぐらい我慢しないと!

身体治すためにやってるんだから!

胸切った直後です。CPAPという無呼吸の機械から繋がれたホースとマスクを装置して寝ます。

まずマスクは口と鼻を覆うタイプで、口呼吸はできなくなります。機械から出る空気の圧が正しくないと空気ばかりが入り過呼吸ぽくなり呼吸困難になりました。手術後身体は痛いし、疲れて寝たいのに息苦しいのまで加わって私は看護師に、この機械は何かおかしい!と何度も訴えました。あまりの苦しさで外して欲しいと頼みましたが医師に叱られるからできませんと断られました。私は絶望的になり、試しに看護師が自分にCPAPを付けて見ろとお願いした。そうすれば、空気圧がおかしい事が分かるでしょうと。看護師は慌てて真っ暗な病室で取説を読んでいたが結局治せずにいた。その時に私が弱いとか言ってきた訳だ。

当然身体は休まらず、回復も遅く退院時に再度傷口をデブリードマンを受けることになってしまった。

先生毎日回診に来て傷はキレイです順調ですって言ってのに、前日もキレイだと言ったのに。

退院時の回診でこれはダメ、デブリしないとダメ

先生とも看護師とも入院中話はしてたんです。

なにもかもが分からなくなりました。

なんどか訴えてきたことは伝わっていませんでした。私の身体のことなのに。

私の伝え方が不味いのなら、私には無理だ。

頭のいい精神科の先生や、スーパー外科医の先生かこちらの不安をくみ取って話してくれたらいいのに。


私ばかりが適応していないなんて、引きこもるしかない。私みたいに分からない人だっている。





5年くらい前に健康診断で再検査したクリニック。先生が嫌な感じだったけど、胸の痛みを早く何とかしたかったからまぁいいかと予約してしまった。


症状は受付時の問診票に記入したので、エコーとマンモグラフィを撮った。

エコーの時間はすごく長かった気がする。

何か長さを測っているような感じ、何かがあるんだなと思った。

名前を呼ばれ診察室に入ると、私の乳房の画像があった。医師からは悪い顔つきの癌に違いないとすぐに言われた。素人の私が見ても歪な形の白い影と黒い影だった。輪郭はギザギザしてるし、猫の耳みたいに2ヶ所尖っていた。

5年もほっておいたんだろうとも言われて驚いた。

突然の告知からのお叱りだ。


いやいや、先生が感じ悪いから別の病院に行ってたんだよ。毎年マンモグラフィ撮ってたし、そこでは放置しても可って言われたんだよ。


私は腹が立ってしかたなかった。


早く切らなきゃいけない、抗がん剤も早くした方かいい、手術の予約も…。

私そんなに悪いの?今日全て決めるの?話は勝手に進んでいくばかり。


待ち合いで看護師が今後のスケジュールを話しに来たので、癌かどうか分からないのに決められないと伝えた。確定してからじゃなきゃ考えられない。

十中八九癌だと言うけど、今の段階じゃ先生の見た目だけじゃないか。針生検の結果が全てじゃないのか。

私がゴネたら針生検の結果を特別に早く教えてくれると言った。確定診断は普通は時間がかかるが、悪い物は早い段階でもある程度わかるらしい。


針生検は胸にホッチキスを打たれた感じで、すごく痛かった。1回目は失敗し2回打たれて痛みと残念な気持ちで嫌な予感しかしなかった。


結果はやっぱり悪性です。大きさから部分切除はおすすめしません。リンパ節に転移しているかは手術中にしか分かりません。

手術の予約も取れました、来週入院です。


ため息しか出なかった。ともかく疲れた。

入院の日まで決まっている。まだ家族にも職場にも伝えていないのに。

医師も看護師も頑張りましょう!と私を励ましているが私の気持ちは全くついていけなかった。


癌ってこんな感じなの???



家に帰って一通り家族に伝えた後、肺癌でかなり前に亡くなった父の時を思い出そうとした。いざ自分が癌だと言われたら、何故か色んな事がボヤけて考えられなかった。乳癌って取れば治るんだろうな、それくらいしか思いつかなかった。

ホッチキスで打たれた傷は先の事を考える気にもならないくらい痛かった。