火車 | かおぴーのブログ

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    皆さんこんばんは。

    今日はこのお話しをご紹介します。


  火車 (妖怪)



鳥山石燕『画図百鬼夜行』より「火車」


火車、化車(かしゃ)は、

悪行を積み重ねた末に死んだ者の亡骸を

奪うとされる日本の妖怪。

概要

葬式や墓場から死体を奪う妖怪とされ、

伝承地は特定されておらず、

全国に事例がある。

正体は猫の妖怪とされることが多く、

年老いた猫がこの妖怪に変化するとも言われ、

猫又が正体だともいう。

昔話「猫檀家」などでも火車の話があり、

播磨国(現・兵庫県)でも

山崎町(現・宍粟市)牧谷の「火車婆」に

類話がある。

火車から亡骸を守る方法として、

山梨県西八代郡上九一色村

(現・甲府市、富士河口湖町)で

火車が住むといわれる付近の寺では、

葬式を2回に分けて行い、

最初の葬式には棺桶に石を詰めておき、  

火車に亡骸を奪われるのを防ぐことも

あったという。愛媛県八幡浜市では、

棺の上に髪剃を置くと火車に亡骸を

奪われずに済むという。

宮崎県東臼杵郡西郷村(現・美郷町)では、

出棺の前に「バクには食わせん」または

「火車には食わせん」と2回唱えるという。

岡山県阿哲郡熊谷村(現・新見市)では、

妙八(和楽器)を叩くと火車を避けられる

という。

古典に登場する火車




著者不詳『奇異雑談集』より

「越後上田の庄にて、葬りの時、

雲雷きたりて死人をとる事」










茅原虚斎『茅窓漫録』より

「魍魎(クハシヤ)」

『奇異雑談集』より「越後上田の庄にて、

葬りの時、雲雷きたりて死人をとる事」

越後国上田で行なわれた葬儀で、

葬送の列が火車に襲われ、

亡骸が奪われそうになった。

ここでの火車は激しい雷雨とともに

現れたといい、挿絵では雷神のように、

トラの皮の褌を穿き、

雷を起こす太鼓を持った姿として

描かれている。

『新著聞集』第五 崇行篇より

「音誉上人自ら火車に乗る」

文明11年7月2日、増上寺の音誉上人が

火車に迎えられた。

この火車は地獄の使者ではなく

極楽浄土からの使者であり、

当人が来世を信じるかどうかにより、

火車の姿は違ったものに見えるとされている。

同 第十 奇怪篇より

「火車の来るを見て腰脚爛れ壊る」

武州の騎西の近くの妙願寺村。

あるときに、酒屋の安兵衛という男が急に

道へ駆け出し、「火車が来る」で叫んで

倒れた。

家族が駆けつけたとき、

彼はすでに正気を失って口をきくことも

できず、寝込んでしまい、

10日ほど後に下半身が腐って

死んでしまったという。


同 第十 奇怪篇より

「葬所に雲中の鬼の手を斬とる」

松平五左衛門という武士が従兄弟の葬式に

参列していると、

雷鳴が轟き、空を覆う黒雲の中から

火車が熊のような腕を突き出して亡骸を

奪おうとする。刀で切り落としたところ、

その腕は恐ろしい3本の爪を持ち、

銀の針のような毛に覆われていたという。

同 第十四 殃禍篇より

「慳貪老婆火車つかみ去る」

肥前藩主・大村因幡守たちが備前の浦辺を

通っていると、

彼方から黒雲が現れ「あら悲しや」と

悲鳴が響き、雲から人の足が突き出た。

因幡守の家来たちが引きおろすと、

それは老婆の死体だった。

付近の人々に事情を尋ねたところ、

この老婆はひどいケチで周囲から忌み

嫌われていたが、あるとき便所へ行くと

いって外へ出たところ、

突然黒雲が舞い降りて連れ去られて

しまったのだという。

これが世にいう火車という悪魔の仕業と

されている。

『茅窓漫録』より「火車」

葬儀中に突然の風雨が起き、

棺が吹き飛ばされて亡骸が失われることが

あるが、これは地獄から火車が迎えに

来たものであり、人々は恐れ恥じた。

火車は亡骸を引き裂いて、

山中の岩や木に掛け置くこともあるという。

本書では火車は日本とともに中国にも

多くあるもので、

魍魎という獣の仕業とされており、

挿絵では「魍魎」と書いて「クハシヤ」と

読みが書かれている。

『北越雪譜』より「北高和尚」

天正時代。越後国魚沼郡での葬儀で、

突風とともに火の玉が飛来して棺に

かぶさった。

火の中には二又の尾を持つ巨大猫がおり、

棺を奪おうとした。

この妖怪は雲洞庵の和尚・北高の呪文と

如意の一撃で撃退され、

北高の袈裟は「火車落(かしゃおとし)の

袈裟」として後に伝えられた。

火車に類するもの

火車と同種のもの、または火車の別名と

考えられているものに、以下のものがある。

岩手県遠野ではキャシャといって、

上閉伊郡綾織村(現・遠野市)から

宮守村(現・同)に続く峠の傍らの山に前帯に

巾着を着けた女の姿をしたものが住んでおり、

葬式の棺桶から死体を奪い、

墓場から死体を掘りこして食べてしまうと

いわれた。

長野県南御牧村(現・佐久市)でも

キャシャといい、

やはり葬列から死体を奪うとされた。

山形県では昔、ある裕福な男が死んだときに

カシャ猫(火車)が現れて亡骸を奪おうと

したが、清源寺の和尚により追い払われたと

伝えられる。

そのとき残された尻尾とされるものが

魔除けとして長谷観音堂に奉納されており、

毎年正月に公開される。

群馬県甘楽郡秋畑村(現・甘楽町)では

人の死体を食べる怪物をテンマルといい、

これを防ぐために埋葬した上に

目籠を防いだという。

愛知県の日間賀島でも火車を

マドウクシャといって、

百歳を経た猫が妖怪と化すものだという。

鹿児島県出水地方ではキモトリといって、

葬式の後に墓場に現れたという。

考察

日本古来では猫は魔性の持ち主とされ、

「猫を死人に近づけてはならない」

「棺桶の上を猫が飛び越えると、

棺桶の中の亡骸が起き上がる」といった

伝承がある。

また中世日本の説話物語集

『宇治拾遺物語』では、

獄卒(地獄で亡者を責める悪鬼)が

燃え盛る火の車を引き、

罪人の亡骸、もしくは生きている罪人を

奪い去ることが語られている。

火車の伝承は、

これらのような猫と死人に関する伝承、

罪人を奪う火の車の伝承が組み合わさった

結果、生まれたものとされる。

河童が人間を溺れさせて尻を取る

(尻から内臓を食べる)という伝承は、

この火車からの影響によって生じたものと

する説もある。

また、中国には「魍魎」という妖怪の伝承が

あるが、これは死体の肝を好んで食べると

いわれることから、

日本では死体を奪う火車と混同されたと

見られており、

前述の『茅窓漫録』で「魍魎」を

「クハシヤ」と読んでいることに加えて、

根岸鎮衛の随筆『耳袋』巻之四

「鬼僕の事」では、

死体を奪う妖怪が「魍魎といへる者なり」と

名乗る場面がある。

転用

経済状態の切迫を意味する「火の車」と言う

言葉は、この火車(火の車)によって

亡者が責め苦をうけることに由来している。

播磨国一帯では性格の悪い老婆を、

化け猫のような老婆との意味合いで

「火車婆」と呼ぶと言う。

遊廓で遊女たちを取り締まる女性である

遣り手(やりて)のことを花車(かしゃ)と

呼ぶのも火車から派生したものであり、

遣り手は万事を切り回す女であり、

遣り手が牛車を動かす人を意味する

言葉でもあることが由来とされている。