いつも頭の片隅に
一ヶ月ほど前に作成した身障者施設のスタディー模型。
全体のバランスを確認しながら基本計画を纏めている。
前面道路からアプローチ、エントランスに至るまでの植栽と建物の見え方、建物の高さ、奥行きに留意し模型を眺めながらの基本図面作成。
スタイロ(押出法ポリスチレンフォームの断熱材)を熱線カッターにて切り刻みカタチを成型する。
20代にお世話になった設計事務所でスタイロ模型を習得させていただいた。
当時の設計事務所での計画案件は、街並みや都市計画に関する計画が多く、初期段階のスタディー模型からクライアントに確認を得るための最終模型まで、すべて事務所のスタッフで作成していた。
スタディー模型は何案も作成しては壊してを繰り返し、理想の建築に近づけていく。
今になって考えると数週間から数ヶ月もの期間をスタッフが模型作りに付きっきりで時間を費やすことを良しとする創造環境は、私にとって大きな財産となっている。
その分、随分と締め切り前は徹夜もしたけれど・・・。
バブル崩壊により、重なっていた案件が頓挫したした後も師匠はこのスタイルを変えることはなかった。
※山本浩三都市建築研究所の模型 日経アーキテクチュア 1990-9-17号
建築家は設計事務所の事業主でもある。
個人で出来ることは限られ、業務が重なってくると提案内容が散漫となることもあり得ることだが、生産性を優先する事業主ではなく私は効率の悪い建築家であり続けることを心掛けたい。
いつも、このことは頭の片隅に置きながら業務にあたりたい。