孔雀助教授伝奇考 -3ページ目

民間信仰と地蔵菩薩-多種多様な地蔵信仰の形②


では。
今夜も「地蔵考」をお届けします。

地蔵菩薩。

ヒンズー教でもゾロアスター教でも。
大地の女神は豊饒の女神であり、生命を育てる女神です。

一方で
生命あるものは必ず死ぬのであり
死の世界とも関係しているのです。

地蔵菩薩はまた。
地上の生命体の繁栄を慈悲の心で育てる一方で

六道。

すなわち
地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人道・天道
の六つの世界に各々の地蔵菩薩がいて
衆生を救済するという信仰が成立しています。

いわゆる「六地蔵信仰」です。

もっとも六地蔵信仰そのものは、六観音信仰に触発されてできた
日本独特のものなのです。

「六道」とは
人々が前世の行いにより生まれ変わる世界のことです。

この考えを「六道輪廻」と呼びます。

このうち
「地獄・餓鬼・畜生」の三つを合わせて「三悪道」と呼び。

生前に悪行をはたらいた者が死後に行く世界といわれています。

また
「修羅・人間・天」の三つを合わせて「三善道」と呼びます。



さてさて。
第三回に続きます。
明日も宜しくお願いしますね。

民間信仰と地蔵菩薩-多種多様な地蔵信仰の形①


さて。
新らしい考察ですが。

今回は
皆様になじみの深い神様を考察してみたいと思います。

今回の伝奇考は
「地蔵菩薩」です。

では。始めますね。

お地蔵様。


人々から「お地蔵さん」と呼ばれている「地蔵菩薩」は
数多の仏尊のなかで一番親しまれているのではないでしょうか。

仏教では「天・空」を象徴する「虚空蔵菩薩」に対して
地蔵菩薩は「地」を象徴している菩薩なのです。

また、地蔵は
日蔵・月蔵・天蔵とともに星宿の仏神であり
古くから崇められていました。

地蔵菩薩は
太古の地母神から育った神格がもとにあって、女神形が本来の形なのです。
原名は「クシティガルバ」。
「クシティ」は大地。「ガルバ」は子宮、胎児、蔵。
大地の包蔵。すなわち「地蔵」となります。
地蔵菩薩とは
無限なものを蔵する大地の母胎なのですね。
その原型はバラモン教の地神までさかのぼるといいます。


次回ではさらに地蔵菩薩を考察していきたいと思います。
では。
第二回をお楽しみに。

遊行神-陰陽道の神々・方位の吉凶を司る神⑥

さて。いよいよ。最終回。
では。始めますね。


年々の吉凶の方位を司る神々「八将神」「八将軍」
凶の。まがまがしき神々。

ですが
これらの神々は周期で遊行、移動します。

例えば
「大将軍」は三年ごとに北・東・南・西の順に遊行するので
「三年塞り」(さんねんふさがり)といいます。

ただし
干支や季節で方位や期間が違います。

こうした「方忌み」の方角へ外出するときは
いったん別の方角へ行き
滞在、あるいは宿泊して木目的地が凶方とならないようにするのを
「方違え」(かたちがえ)というのです。

平安時代に最も盛んに「方違い」が行なわれたそうです。

「方違え」は
これら「八将軍神」とともに広がっていったといわれます。

そうした「方忌み」「方違え」は
凶方を避け、そして克服する陰陽道の方位術なのです。

こういった祟り
災いや凶方、禁忌などの忌み嫌う「ケガレ」の元凶としての凶星鎮めの祭祀は
神祇的な祭祀と区別されて
主に「陰陽師」により祭祀を執り行われました。

これが
陰陽道祭祀の発展に繋がり
そして民間レベルの民間信仰へと広がっていったのでしょう。

昔の人々は
こうした陰陽道の神々の方位
方角によっても地相を重んじ安全と幸運を祈ったのでしょうね。

遊行神-陰陽道の神々・方位の吉凶を司る神⑤


遊行神。星神。方位神。


これらの年々の吉凶の方位を司る神々には
「八将神」
または
「八将軍」がいます。


しかし
その神力は凶のオンパレードでもあり
まがまがしき神々なのです。

「金星(太白星)」
「木星(歳星)」
「火星(ケイコク星)」
「土星(鎮星)」
「水星(辰星)」

これら五つの惑星は
総称して「五星」と呼ばれ。

これら「五星の精」(土星には2精を生じます)に
白道「月のコース」と
黄道「太陽のコース」の交差点にあると考えられていた
「ラゴウ星」と「計都星」の二星の精を加え
「八将神」とします。

これらは
五星から生じたもので

「宵の明星」で凶兵を司る「金星の精」からは「大将軍神」が

春、福慶を司る「木星の精」からは「大歳神」が

中央にあり
四季を司り
五穀豊饒をもたらす「土星の精」からは「大歳神」の后神(きさきがみ)で
妊娠や結婚の吉凶を司る「大陰神」と
鎮めの神である「歳破神」が

「災い星」と呼ばれ夏を司る「火星の精」からは「歳殺神」が

冬を司る「水星の精」からは「歳刑神」が

「ラゴウ星の精」は「黄幡神」に、「計都星の精」は「豹尾神」へと。

それぞれなります。

これら八神は
いすれも方位の吉凶を司る鬼神であり

それらの神の在る方角は
各々の神格によって「日塞がり」として禁忌されました。


さてさて。
第五回いかがでしたでしょうか?

次回はいよいよ最終回となります。
では。お楽しみに。

遊行神-陰陽道の神々・方位の吉凶を司る神④


では。
第四回目。始めます。


陰陽道の神には
「土公神」の他に
「歳刑神」という辰星
つまり水星の精で、刑罰を司る神がいます。

この神も
耕作など土を動かしたり木を植えたり
種まきを嫌い
方位を侵すときには
たちまちにして災いが降りかかってくるといいます。

また
大凶星とされるラゴウ星の精といわれる
「黄幡神」も巡る方角により
建築、井戸掘りなど土を動かすのを嫌い
災いを招くと伝えられています。

同じ凶星とされる
計都星の精とされる「豹尾神」も
その方位を汚したりすると
その祟りには恐るべきものがあると伝えられています。
この神は
豹のように激しく猛悪な神とされ
この方位には尾のある生き物を求めるとされます。


悪いとされる方位
方角を避けるのを陰陽道では
「方忌み」(かたいみ)といいます。

陰陽道で凶方とするのは
「大将軍」
「太白神」
「金神」
「天一神」
といった「星神」のいる方角なのです。

その中で
最も恐ろしいとされた
「星神」は「大将軍」です。

これは金星の精が地上に降りたもので
金星は「金気」の象徴であり
刃物などに象徴される不吉な星とされています。

「金気」は
「五行」において物を枯らし
伐ることを司っているため
棟上や移転は万事に凶とされます。

「金神」や「太白神」もやはり同じく
金星の神であり
「金」とは「禁」に通じ、凶とされます。

「金神」に至っては
殺伐を好み
この神のいる方位は「金神七殺」とも呼ばれ
侵した本人だけでなく、親類7人を殺すほどの
「祟り」があるといわれます。

しかも
1軒の家で人数が7に足らなければ
災いは隣家にまでおよんで帳尻を
合わせるほど、執念深く、忌むべき神なのです。 


さて。
第四回。どうでしたでしょうか?

次回からは
遊行神。星神。方位神をもう少し考察したいと思います。

では。明日もお楽しみに。

遊行神-陰陽道の神々・方位の吉凶を司る神③


「土公神」


また。「土公神」は
その家の人が土地を他所に移り住んでも
元の家の土地を絶対に離れない神なのです。

だから
他所に新築する時は新しい家にも「土公神」を祀り
古い家にも残していくといいます。

「土公神」は
台所の土間の入口に祀るのが普通です。

また
家を壊してしまう時でも
土地の片隅に小さな祠を建てて祀りますが
こうなると
「土公神」という神の呼び名はなくなり

「地主神・地神」となるのです。


家を新築したり
ビルを建てたり、土木建築工事などを始める前に
たいてい、「地鎮祭」を行なうのが一般的ですよね。

「とこしずめのまつり」といい
土祭り、地祝い、地祭りとも呼びます。


「地鎮祭」は
その土地の神を祭り工事の無事と神のお守りにより
その家、人、建物に災いが起きないように願う儀式なのです。

土地の神は
「地神」(地主の神)と呼ばれ
陰陽道では「土公神」と呼ばれています。

家の神。
「屋敷神」としても祭られています。

「地鎮祭」はいわば
神へ建築を届け出して許しを願う祭りなのですね


さて。第三回どうでしたでしょうか?
だいぶん。土公神をお分かりになったと想いますが。
皆様どうですか?

では。明日もお楽しみに。

「遊行神」-陰陽道の神々・方位の吉凶を司る神②

それでは。
土公神考察。第2回目を始めますね。


岡山では

この「土公神」を「ドツクウ様」「オドクウ様」などと呼び
家を新築するときに祀ります。

これは神々が集まって家を守護するという信仰ですね。

真言宗を旦那寺とする人は
「オドクウ様」(御土公様)

日蓮宗を旦那寺とする人は
「オフゲン様」(御普賢様)と呼んで土間に祀ります。

したがって
「土公神」は竃(かまど)神の性格もあるのです。

「土公神」を生んだ考え方は
古代中国の哲学であり。
陰陽道の理論である「陰陽五行説」といえます。

「五行説」の木火土金水の五つは

「土」で竃(かまど)を築き
「金」の鍋に「水」を入れ
「木」をくべて
「火」で煮て食べることから
「土公神」は
生活の中心である飲食を受け持つ神であるとされ
家の親神様として信仰されてきたりしました。

したがって
お供えは他の神より先にお供えするし
お供え物の「下がり」も
次男、三男および女の子など
地方・他家へ出て行くものは一切食べられません。

この習俗は
「土公神」は絶対に家から離れない神であるから
次男、三男や女の子が「下がり物」を食べると
分家もできずに
お嫁にも行けなくなるという考えに基づいているからなのです。


さて。
次回もお楽しみに。

「遊行神」-陰陽道の神々・方位の吉凶を司る神①

さて。
今日からは。
また。長編伝奇考を始めたいと思います。

今回の考察は。

「土公神」です。題して「土公神考」。


「土公神」って?
皆様にはあまり。聞きなれない神様ではないでしょうか。
日本の神様なのか?中国の神様なのか?

土公神は。
日本でも。とても重要な神様なんです。

それというのも。
もともとは陰陽道の神なんですね。

「土公神」(どこうじん・どくじん)は
陰陽道の「遊行神」(ゆいぎょうしん)の一神で
「遊行神」とは「移動する神」のことです。


土の守護神、土君(つちぎみ)、地神(じかみ)などとも呼ばれています。

また
「土公神」は土の守護神であり、家の守護神でもあります。

「土公神」は地上へ出て、ある決まった方角へ遊行し
ある日にちが経つと地中へ入るということを繰り返すといいます。

「土公神」が地中にいる時期や移動の方角に向かい
土をみだりにほるなどして土を犯すと「祟り」があるといわれています。

したがって
その期間中は土木関係の工事を「禁じる」言い伝えもあります。

「土公神」は
土の守護神なので土を犯すことを悪いとしますが
家にあっては四季によりその主宰するところを異にします。

季節では
春は竃(かまど)、夏は門、秋は井戸、冬は庭というふうに移動します。

「春は竃(かまど)」
従って竃の築造改修に悪いとされ。

「夏は門」
従って門戸の新築改修に悪いとされ

「秋は井戸」
従って井戸掘り井戸さらいに悪いとされ

「冬は庭」
従って庭造り動土樹木の植え替えに悪い。

と、されます。

移動期間中は
そういったことを行なわないほうがいいとされているのです。

さてさて。
次回からは、もう少し「土公神」を考察していきます。

「土公神考」第二話に続きます。
明日もお楽しみに。

わらうてはをられずなりぬ―の漏。

この言葉は。

ホトトギス派の俳人・森川暁水の言葉です。
梅雨の言霊。

さて。
梅雨ですが。

日本には梅雨の季節がありますね。

また梅雨とは。
梅の実の熟する頃に降る雨という意味でもありますね。
また。この時期はカビ(黴)が発生しやすいため、黴雨とも云います。

そして。
梅。
梅で思い浮かぶのは。
やはり。このお方。「菅原道真」でしょうね。
天神にして。雷神。そして、祟り神にして怨霊。

そして。
忘れちゃいけないのが、菅公の「飛梅伝説」です。


『東風吹かばにおいおこせよ梅の花あるじなしとて春なわすれそ』

道真公が詠った。御神詠ですね。

梅花を愛された道真は。
大宰府へ西下の時に、京の紅梅殿の梅にこの歌を詠むと
梅花は、一夜にして。
はるばるとあとを慕って配所大宰府の菅原道真のもとに飛んでいったそうです。
それが、「飛梅伝説」ですね。

太宰府天満宮にある御神木「飛梅」は
千有余年たった今も。毎年、梅の花を咲かせていおり
「飛梅さま」として民衆に愛されています。

まさに。
千年たっても続いている道真と梅の「思い・想い」。
道真を慕う梅の呪・言霊ではないでしょうか。


さて。今日は。
梅雨について考察してみました。

台風の神と鍛冶の神-「補完」

今回はおまけです。


まだ。不完全な謎を補完したいと思います。


アメノムラクモは出雲国の古代製鉄文化を象徴するのです。

オロチは水を支配する蛇神=竜神を表し。

クシナダ姫は稲田を表します。


クシナダ姫とは

奇し稲田。霊妙な稲田の女神。

また。

櫛名田比売。

櫛をさした巫女。

蛇神。川の神に仕える巫女。蛇巫なのかも。


スサノオ。

洲砂の王。洲砂の男。とも呼ばれます。

なぜか。

島根県の斐伊川には
出水後に

「鱗状砂洲」と呼ばれる

蛇の鱗を思わせる砂洲が構成させるといいます。

砂洲。

洲砂。

すなわち。

スサノオ。

蛇の鱗。

蛇。

大蛇(オロチ)。すなわち。ヤマタノオロチ。

日本では。
蛇神とは竜神のことを指します。

山の神は。
蛇神とされることが多いようです。
三輪山の大物主。も蛇神であり。

多度山
の一つ目竜。竜神であり。

山の形は。
蛇がとぐろを巻く様子だとされるからです。

スサノオ。
は英雄なのか。

ヤマタノオロチ退治は治水だとされます。

蛇神の暴れは河川の崩壊。

スサノオは

中央から、国家から
派遣された人物ではないのか。

治水(蛇退治)技術を持つ人物(民族)なのかも。


さてさて。
おまけの補完。いかがでしたでしょうか。

皆様に。日本の歴史を
楽しく読んでもらえば嬉しいです。

では。
今宵はこれにて。