「化けなさい」と言った人 | くじらいいく子 オフィシャルブログ 「クジラのキモチ」 Powered by Ameba

「化けなさい」と言った人

「変な漫画を描く新人が出て来たなと思った」

 

 

そう言ったのは当時ビッグコミックスピリッツの

編集長だったS氏でした。

 

 

 

「君の漫画は何を描いているのかよくわからないし

今は人気もないけれど

それでもなんだかこの先が面白いような気がする。

 

 

 

だから化けなさい

 

 

 

 

 

そう言われて初めて青年誌に描いた作品

「ブルー・ジーン」を描き終えて

次の作品まで1か月間の猶予をくれると言う。

 

 

その1か月の間に

「化ける」心構えを

しなくてはなりませんでした。

 

 

 

 

当時青年誌と言ったら

ほとんどの読者も作家も男性だったけど

そこに女性の数を増やすと言う風穴を入れたのが

S編集長でした。

 

 

 

わたしはこの人がいなかったら

その後の作品は生まれてこなかったな。

 

 

 

 

「化ける」と思っていてくれた人が

この世に居てくれて

時間はかかったけれど

「化ける」までずっと待っていてくれたのだと思うと

一生頭が上がらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

そのS氏が先月

完全勇退されたと言う。

 

 

 

大手出版社のナンバー2まで行き

その名はこの世界にいる仕事人に鳴り響き

ライバル会社の永遠の好敵手にもなってきた。

 

 

 

年齢的にはとっくに隠居していてもおかしくはないが

70代後半までその名を響き渡らせてきたことは

事実。

 

 

 

 

 

ひとつの時代が終わったのだなと

あえて「老兵」とは言わず

 

「一兵士」の去り際に

感慨深いものがあります照れ

 

 

 

 

 

 


ぜつぼうごはん 1〜