”われは海の子”を読んで | くじらいいく子 オフィシャルブログ 「クジラのキモチ」 Powered by Ameba

”われは海の子”を読んで

そうなんです。


ずっと考えていたんです。


海のこと。


そして、これからそこに向かって


私は何が描けるのかを。





先日、脚本家の小原信治さんから問われたことです。





「3・11以降、ほとんどの漫画が今までと同じ続きを描いている。


震災のことには触れずに、


それってなんでだろうと思うんです」





そうですね、あれからずっと考えていました。


でもきっと震災をテーマにした漫画はそう多く生まれないのでは、


と思うのです。


それは必要だからとか、必要じゃないとかではなく、


少なくとも


昨日と同じ世界で描くことに、


私は潔さを感じているから。




漫画はドキュメンタリーではなく、ニュースでもなく、


人の心の日常に寄り添うものだから、と思います。




今や漫画は大きなビジネスのひとつですが、


震災のことがこの先たくさんの映画やドラマになっても、


私は漫画作品ですぐに描こうとは


思えないのです。





TVや新聞では連日震災のことを報じていて、


原発の現実からは逃げられず、


おそらくこの先、


空前の不安を迎えることになる


日本の必要なもののひとつとして、


「昨日と同じ希望」を届ける漫画があるとすれば、


私はそこに居たいのです。





避難所で一冊のジャンプを300人近い人が


回し読みしたという話しがありましたね。


やっとの思いで手にしたジャンプに求めるものは、


昨日と同じ希望のストーリーであって、


ワクワクさせてくれる「ワンピース」の続きであったり


するわけです。




記録として残す現実と、


昨日と同じ希望を届ける漫画という世界の役割は


きっと大きく違っている。


そんなふうに感じています。




瞬時に行動する映像の世界は”今”を必要としていて


そこに力を注ぐ人の情熱を小原さんに感じました。


今すぐなにが出来るのか。


何を伝えられるのか。


このエネルギーはさすがです。


ちょっと心揺さぶられました。







「小原信治さんの草の根広告社」


http://www.allnightnippon.com/fukuyama/blog/index.php?id=7








海へ人は必要ならまた必ず戻ってくる、と思います。


きっとそんな作品が必要になった時、


ちゃんと「希望」を届けたい。


そして私の今は


「身の丈の贈り物をしっかり届け続けたい」


と思う日々です。





小原さんから多くの考えるテーマをもらいました。


あらためて、映像の世界にいる人のパワーをもらって


また「海」のことを考えてみたくなりました。




今回もらった問いかけは、


漫画家としての私がもらいたかった、


大切な挑戦状です。