島崎三歩から宮本大につながり、さらに上原ひろみにつながったが、ピアノといえば音源のメモリに一番多く入っているのは小曽根真。1985年録音の「After」とか1991年の「Walk Alone」なんかは「カセットテープ」でヘビロテして聴いていた。何度かライブも聞きに行き、ショパンに傾倒してアルバムを出したツアーでは、CDにサインをもらったりもした。


 Road to Chopin サイン入り。


 番組見聞録はClassicTVから「小曽根真とピアノの魅力」ゲストの小曽根真が鍵盤楽器について語る、演奏する内容があった。実父がオルガン奏者として著名な小曽根実氏。小さいころからピアノを習っていたが、12歳でオルガン演奏に目覚め、才能が開花したとか。ピアノや、オルガン、その他いろいろな鍵盤楽器を弾き比べては響きを確かめるような練習をしていたそうな。

 番組内ではピアノ以外に、彼の原点となるハモンドオルガンやローズピアノなども紹介されていた。ハモンドオルガンの紹介では、さらっとジミースミスの「THE CAT」を演奏。最初のハモンドオルガンは物理的に音の響きを作り出す巨大な楽器だったそうだ。
 ハモンドオルガンと言えば、次第に電気的な装置に置き換えられて、現在の楽器に至るそうで、シンセサイザーにその位置を奪われそうになっている。しかし、まだまだ、この音を求める人もいるそうで、発明当時の物理的に音を出すシステムは、超高額で取引されるとか。今はサンプリングされた音を使う楽器になっているそうだが、日本では浜松市に工場のある鈴木楽器がライセンス生産をしている。教育楽器を多く作っている鈴木楽器だが、以前、工場を見学に行ったことがあり、その際に電子オルガンと同じラインに、ハモンドオルガンが流れていた。しかしその内部基盤に見えたのはなんと真空管。半導体ではあの音は出せないということか。周辺の電子楽器とは明らかに一線を画した構造になっていたのを記憶している。

 ハモンドオルガンといえば、響きが耳に残るのはプロコルハルムの「青い影」とか。この曲に強く影響を受けたという松任谷由実の「ひこうき雲」なんかもハモンドの音でイントロが始まる。2012年のベスト盤「日本の恋とユーミンと」では、直接オファーしたという松任谷由実とプロコルハルムの競演が実現、収録曲の最後に「青い影」のカヴァーが入っている。

 さらにローズピアノの紹介。温かみのある独特の響きの音が耳に残る。圧倒的に記憶に残り続けるのは番組にも登場、ビリージョエルの「素顔のままで」原題Just the way you are だろうか。同様にイントロにインパクトを残す意味では、きっと影響されたに違いないのが松任谷由美の「No side」だろう。
 番組内ではチックコリアの「スペイン」の一部。アルバム「Return to forever」もヘビロテの中の一枚だが、実に多くの人にカバーされている曲。ヴァイオリンの寺井尚子の代表曲にもなっている。

 番組最後は小曽根真の演奏でラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」中でも最も美しい変奏とされる第18変奏を。原曲ももちろんすばらしいのだが、小曽根バージョンの、美しい旋律をさらに引き立たせる即興は見事としか言いようがない。鳥肌そしてため息・・・
 

こちらは原曲演奏CD
ラフマニノフ全ピアノ協奏曲、パガニーニの主題による狂詩曲
演奏はアシュケナージ。