はい。
プロレスの話です。
飯塚高史選手が本日引退されました。
新日本プロレス初心者の私からして。
なんとも奇妙なレスラーが、飯塚高史選手でした。
雄叫びをあげながら会場内を練り歩き。選手審判誰彼構わず所構わず噛み付きます。はい。噛み付きます。もちろん反則です。更に変な鉄の爪(アイアンフィンガーフロムヘル)を付けて相手選手へ地獄づき。はい、反則です。
ずーっとウガウガ言いながら噛み付いたり、走り回ったり。
いわゆる、ヒールレスラー。
レスラーどころか、人ですらないような、強烈なキャラクター。
そんな飯塚高史選手の引退興業。
一般の選手は、最後にリング中央でマイクパフォーマンスをし、お客様からの拍手を一身に浴びて引退していかれます。
が、飯塚選手は、先述した通り、強烈なキャラクター。そもそも喋りません。ウガウガしているだけです。
これ、
どんな引退式になるかと思っていたところ。
当時の盟友、天山選手から、昔に戻ってくれ!という言葉。それとともに組まれたラストマッチ。
これは、こういう事か。
飯塚高史選手は、もともとは、正統派のめちゃめちゃカッチョいいレスラーでした。が、色々あって今のキャラクターへと変貌を遂げた訳です。
なので。
天山選手との熱い闘いののち、正気を取り戻した飯塚選手が、観客へ今までのレスラー人生の熱き胸中を叫ぶと共に、涙涙の引退式。
なるほど。これが待っているな。
と楽しみに試合を待っていました。
いつも通り、会場を練り歩きながら登場。
いつもと違うのは、悲鳴だけでなく湧き上がる飯塚コール。
ああ。引退っぽい空気。
天山選手は入場するやいなや、飯塚選手へ魂の呼びかけ。
おお。ストーリーが、動いてる。
ここからは、まさにまさにの展開。
天山選手の声に、次第に飯塚選手が頭を抱え出したり、当時使っていたキレのいい技を繰り出したり。正気取り戻しストーリーが、動きます。
そしてラストは天山選手が飯塚選手を3カウント。勝負が決まりました。
手を差し出す天山選手。苦悩する飯塚選手。
応えようとする右手。
湧き上がる歓声。
悩みつつも伸びる右手。
高まる歓声。
ついに交わされる握手。
最高潮の盛り上がり。
開く口。
噛みつかれる天山選手。
あれ?
あれあれ??
登場するパイプ椅子。
殴られる天山選手。
そしてアイアンフィンガーフロムヘル。
おやおや?
そんなこんなを観ているうちに飯塚選手は、いつもどおり。会場を練り歩きながら、颯爽と帰って行きました。
取り残されどよめく会場。
一言欲しいと鳴り止まない飯塚コール。
32年間のレスラー人生を生きた男の声が聞きたい。
止まらない飯塚コール。
しばらく続くも、結局飯塚選手はその後一切姿を見せないまま、興業は終了しました。
うん。
なんと。カッコいいのでしょう。
私は、ほんと。これ。感動しました。
この引き際のかっこよさ。
自分の人生の肯定。
プロレスへのリスペクト。
ファンへのリスペクト。
初志貫徹する男の美学。
なんとも言えない感動に包まれたのでした。
はー。
プロってすごい。
何より、俺はこうするんだ。という強い意志がカッコいい。
他と一緒じゃなくてもいい。
普通でなくていい。
俺は俺の道。
くうー。
学ばせていただきました!
以上!
プロレス知らない方、長々と失礼しましたっ!