充たされる心が満たされる。 心の箍が外されていく。 たった一瞬なのに 寂しさが 暖かい気持ちに覆われる。 季節は冬。 辺り一面を覆う雪は、 轍を通る車の音すら かき消していく。 雪の多い地方の大学の4年生 大河内雪寛(おおこうち・ゆきひろ)は 引きこもりに近く 大学にも最近は行ってない。 後期の試験すら欠席して、 留年は決定。 悶々て日々を送り ゲームに朝から晩まで 興じていた。 心が重く、 自分自身の行動にも 苛ついている。 アパートの隣人に聞こえるほど 夜でも叫んだり壁を叩いたり。 酷い有り様だ。