義章は廸との婚儀の半年後の真冬、朽木谷の若狭屋敷で、待望の子を授かった。
娘・由貴(ゆき)である。
側室が許された時代、廸が友人を紹介して側室となる。
由貴の産まれた1年後、廸との間に、
嫡男・次郎丸
次男・法師丸(ほしまる)が産まれ、
側室で農家彦五郎の娘、庶(ちか)との間に
三男・庶丸
が誕生した。
廸と庶は昔馴染みであり、仲が良かった。その為、分け隔てなく育てた。
祖父となった満繁は、妻の幸ともども破顔して喜んだ。満繁や満宇も、彦五郎と懇意であり、大家族の状態。
満宇や廸の従兄弟で、近江源氏佐々木氏初代の佐々木秀俊(ささきひでとし)は、時折顔を見せるが、決まって子供には泣き叫ばれていた。