凛憧-りんどう-
作詞・作曲:さだまさし
父と共に 城跡から見おろす
夕焼けが好きだった
息を切らす 肩に置かれた
手の体温(ぬくもり)はもっと好きだった
ある日父が いつもの気まぐれに
僕を抱きしめたりしたが
そのままじっと 声も立てず
静かに泣いたことがあった
その朧気な 記憶がいつか
重さを増すと 知るはずもなく
幼い僕は 何か恥ずかしく
崖の淵に咲いた
薄紫の花を じっとみつめていた
早咲きのりんどうと
それは あとで 知った
僕が父の 涙を見たのは
その一度きりだった
祖母を送り 友を送り
その時にも涙は見せなかった
あれ程に 可愛がった妹が
嫁ぐと決めた日も
ただおだやかな 父の姿に
僕はふと あの日を思い出した
父といえど 男といえど
時のはざまに 落ちる刻(とき)がある
今となれば わかることがあり
そっと胸が つまる
花嫁の父が今 少し照れた背中で
娘から花束を 贈られているところ
薄紫の花が じっと見つめていた
遅咲きのりんどうと
それは すぐに わかった
➡️1988(昭和63)年7月25日にリリースされた、さだまさしさん13枚目のアルバム「風待通りの人々」の収録曲です。
タイトル「凛憧」ですが、通常は「竜胆」等と書かれます。
アルバム「風待通りの人々」の8曲目に収録されていますが、さださんの父親と妹の佐田玲子さんをモデルにした曲で、代表作である「雨やどり」「秋桜」「親父の一番長い日」と同様、妹の玲子さんの結婚を念頭においた曲であるが、当の本人は現在に至るも独身のようです。
この曲は、コード進行は簡単なんですが、やはりさださん並の高音が出せないと、ただの下手くそが歌う暗い歌でしかありません。
私が25~6・7の頃の曲ですが、かろうじて高い声が出ていましたので、結構さだまさしファンの女の子に、リクエストされたりしていましたね(笑)
りんどうは、古くはえやみぐさ(疫病草、瘧草)とも呼ばれた、本州から四国・九州の湿った野山に自生する秋の花で、花は晴天の時だけ開き、釣り鐘型のきれいな青紫色で、茎の先に上向きにいくつも咲かせます。
花言葉は、群生せず、一本ずつ咲く姿から「悲しんでいるあなたを愛する」
北海道に咲くりんどうは、全く別物で「エゾリンドウ(蝦夷竜胆)」と呼ばれ、北海道から本州近畿以北にかけて分布し、山地の湿地帯に生えています。
純粋の釧路っ子は、あくまでも「当時」ですが、図鑑以外でりんどうの花を見たことがない人が多かったです。
釧路は北海道の中でも、植生が樺太や千島列島に似ていますからね。
内地は言うまでもなく、函館や札幌から釧路に戻って来ると、間違いなく「異国情緒」を感じます。
そういえば、飛騨で見たりんどうは美しかった。
そのせいかどうかは知りませんが、1967(昭和42)年7月15日~ 8月26日の毎土曜日に、名古屋駅 - 高山駅間の臨時夜行急行に「りんどう」と名付けられていました。
国鉄の列車ですが、車両は名鉄キハ8000系。
のちに特急「北アルプス」に使われる車両でした。
この列車を受ける平湯温泉行の濃飛バスが、かなりあとまで走っていましたが(りんどうのあとは急行のりくら)今は廃止されています(正確には名古屋発の夜光バス「サマーパル特急」が高山で接続)
それはそれとして、りんどうって花は、私の中で10本の指に入る位好きな花です。
いつか夫婦で飛騨に行ったら、Nちゃんに見せてあげたいですね。