忘れ得ぬ歌ぱーと697「ペチカ」 | 遊遊のブログ

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ペチカ

作詞:北原白秋
作曲:山田耕筰

雪のふる夜は
たのしいペチカ
ペチカもえろよ
お話しましょう
むかしむかしよ
もえろよペチカ


雪のふる夜は
たのしいペチカ
ペチカもえろよ
おもてはさむい
くりやくりやと
よびますペチカ


雪のふる夜は
たのしいペチカ
ペチカもえろよ
じき春来ます
今にやなぎも
もえましょペチカ


雪のふる夜は
たのしいペチカ
ペチカもえろよ
だれだか来ます
おきゃくさまでしょ
うれしいペチカ


雪のふる夜は
たのしいペチカ
ペチカもえろよ
お話しましょう
火のこばちばち
はねろよペチカ


soon童謡集「子供の村」に収録され「待ちぼうけ」と共に山田耕筰の作曲で、1924(大正13)年、満州の日本人児童向け教科書「満州唱歌集」に掲載されました。

「南満州鉄道(満鉄)」の関連団体「南満州教育会」の依頼で「満州情緒を取り入れた歌曲を日本人児童に与えたい」ということで、北原白秋に依頼されたのがこの曲です。

大正13年の満州は、まだロシア情緒が色濃く残っており、特に「北満」と呼ばれる地域…ハルピンやチチハル等…は、完璧にロシア風の都市だったらしく、日本から満州に移住した人々は、内地とは違う寒さに、さぞ震えあがったと思われます。

ペチカ(ペーチカ、ピューチカ)は北欧生まれで、ロシアを経由して1880年頃に開拓使により北海道に導入されました。

昭和30年代から40年代の住宅は、煉瓦作りが多く、ペチカが備えられていたものもありました。
ただ火が熾てから、暖まるまで時間がかかるのが欠点です。

道民にとってペチカは、意外と馴染み深いものですが、庶民は「ルンペンストーブ」を使っていました。


この曲を冬に聴くと、何故か雪が降ってくるのが不思議ですが、港町には似合わない曲ではあります。

「くりや くりやと呼びますペチカ…」の「くりや」は、名物の焼き栗を売る声らしく、さりげなく満州情緒を入れておりますが、姪っ子は「絶対北海道の風景…多分札幌を歌っていると思ってた」と言っていました。

柳の果実は「柳絮」と呼ばれ、綿毛を持っており風に乗って散布される、満州5月の風景です。


今夜の釧路は雪。

なんとなく薪のはぜる音が恋しくなります。