「こら、アカンは…あのおっちょこちょい…」

 

 

先日、得意先でお店のお母さんと息子さんの3人でお話していると…

 

「あっ、悪いっ!今から配達行かなあかんねんっ!」

 

話しに夢中になり、お客さんとの大切な約束を忘れていたようで、息子さんがあたふたと出掛けて行きました。

 

 

それからすぐ、お母さんが、

 

「あっ!あの子、鞄忘れとるがなっ!」

 

と、七つ道具の入った鞄を忘れていることに気が付きました。

 

「どこまで走ったやろ…しゃ~ないな~もぅ…」

 

などとボヤきながら連絡をとろうとすると…。

 

 

チャーンチャチャチャン…チャチャチャチャチャチャチャンっ!!

 

 

『六甲おろし』のけたたましい着信音が鞄の中から鳴り響いてきました…(そう、息子さんはタイガースの大ファン)。

 

 

「こら、アカンわ…あの、おっちょこちょい…」

 

 

これにはお母さんも苦笑い(笑)。

 

 

間もなく、途中で気が付いた息子さんが戻ってきました。

 

 

「アホやなぁ、ちゃんと出掛ける前には確認せんなぁ、しっかりしいやぁ、もぅ…」

 

 

そい言いつつも言葉からは、息子さんのことが可愛くてしょうがない気持ちが滲み出ていました。

 

 

その光景を微笑ましく見ている丁度そのとき、今度は、お店に電話が…

 

 

「はい、〇〇寝具店です」

 

 

ところが、受話器を取っても、何故かコール音が鳴り止みません。

 

 

「あれ…?繋がれへんやん、これ…お~ぃ!?もしもし、もしも~~し!これ壊れてんちゃうか?」

 

 

しきりに首を傾げるお母さん。

 

 

それもそのはず、その手に握られていたのは受話器ではなく、テレビリモコンだったのですから…。

 

 

 

 

「壊れてんのはおかんやろっ!」

 

 

即座に息子さんが反応。

 

 

その吉本新喜劇の茶番劇のような光景を眺めならが、そそっかしさも遺伝することを確信する1コマでした。^^ 

 

 

 

かく言う僕も先日、携帯を首からぶら下げ必死に探し回るという失態をやらかしたので、決して人のことは言えませんが……。

 

 

 

(今回の話は2009年、当店の情報誌『眠りの楽屋裏通信vol.28』に掲載したものです)