キャリーバッグの使い方(17)  引くのか・押すのか 

 

キャリーバッグは

引いて歩くのか

押して歩くのか、

という問題を前回は論じました。

前回、論じきれなかったぶんを今回は、“その2”として説明させていただきます。

 

4輪型キャリーバッグは、通常つぎの図のような形態で歩きます。

 

                 引いて歩いている? 押して歩いている?

 

上図のような、“キャリーバッグを使用して歩く”行動を、何と表現すればいいのでしょうか。

 

“キャリーバッグ歩く”

という表現で良いのでしょうか。

この表現ですと、“ハンドバッグ歩く”という表現と同じ形式になってしまい、文法的には変な感じがします。

 

ハンドバッグの場合は、ふつう、“ハンドバッグを肩に架けて歩く”と言いますね。あるいは“ハンドバッグをしょって歩く”という言い方もします。

 

“ハンドバッグを持って歩く”という言い方もするかもしれませんが、このように表現したときは、本当に“手に持って”歩くのではないかと思われそうです。

 

キャリーバッグも“キャリーバッグを持って歩く”というと、キャリーバッグを地上から持ち上げて、持って歩くようなイメージに捉えられるかもしれません。

 

さらに、“キャリーバッグを持ち歩く”という言い方もありうると思います。

この場合、“キャリーバッグ”の部分を“ビジネスバッグ”に置き換えると、“ビジネスバッグを持ち歩く”となります。

 

ビジネスバッグの場合は、本当に持つ物ですから、これで良いと思います。

しかし、キャリーバッグの場合は、持つ物ではないので、この表現もまたしっくりときません。

 

やはり、“キャリーバッグを○○して歩く”という形にして、キャリーバッグの使い方のような言葉を○○の中に書き込むのが良いように思います。

 

その○○には、“引いて”とか“押して”という言葉が候補となります。

 

そこで問題になるのが、“引いて”を入れるのが正しいのか、それとも“押して”を入れるのが正しいのか、ということです。あるいはもっと別な○○があるでしょうか。

 

ここでは、“引いて”か“押して”か、どちらがヨリ正しいかについて議論することにします。

 

このような議論をするのは、キャリーバッグは本当に、“引いて”歩いているのか、それとも“押して”歩いているのかを明白にしたいと考えるからなのです。

 

また、“キャリーバッグを○○して歩く”という言い方がどうしても必要になるからなのです。

 

さて前回では、この問題には仮の結論として

引くときは、荷物の前に立たないと引けません。

 

押すときは、荷物の後に回らないと押せません。

と考えました。

 

たとえば、下図は本当に押して歩いていると思えますね。

 

             

          4輪型キャリーバッグを押して歩く人

 

この図からしても、上記の考え方は、物理的にも間違いではないと思います。

しかし、つぎのような場合は、どう考えればいいのか苦慮します。

 

         引いて歩いている? 押して歩いている?

 

この図のキャリーバッグの取っ手は細い一本棒のようなものだとします。

その取っ手棒の上部の先端を手で掴んで、キャリーバッグを図の右方向に進めようとする場合、それは押すことになるのか引くことになるのか、どうでしょうか。

 

この図の場合、荷物と人との前後関係はハッキリしてません。

図上ではわかりませんでしたので、実際に作ってやってみました。

 

感触としては、押しているようでもあり、引いているようでもありました。

つまり、自分でも押しているのか引いているのかわからなかった、ということです。

 

そして、自分で“押すのだ”と、意志を決めて実行すると、押している自分を認識します。

自分で“引くのだ”と、意志を決めて実行すると、引いている自分を認識します。

 

このことは、物理的には、判断がつかないことを意味しているように思います。

もっと言うと、物理的には押す・引くの区別はできないことを意味しているように思います。

 

というのは、取っ手棒にとっては、自分(取っ手棒)は後から押されているのか、前から引いてもらっているのかは、わからないのではないかと思うからです。

 

きわめて細い(薄い)棒では、後も前も区別は付きにくいと思います。ただわかることは、進行方向に力が加えられていることだと思います。

これは物理的にも測定できます。

 

ただ、諄いですが、その力は後から加えられているか、前から加えられているかは認識できません。

 

これらは、つぎのように考え直させられます。

 

前回の仮の結論

  引くときは、荷物の前に立たないと引けません。

  押すときは、荷物の後に回らないと押せません。

は、間違いはないのですが、これは人の立場から見た事実です。

取っ手棒の立場から見ると、引く人と荷物との前後関係はどうでもよいことである、と言えます。

 

取っ手棒にとっては、人が引こうが、馬が引こうが、エンジンで押そうが、とにかく引かれているか押されているかはわからないのです。ただ、右方向に力が加えられていることしか理解できないのです。

 

というのが、今回の結論になります。

 

それで、当面は、私は、「キャリーバッグを引く」という表現を使うことにします。

とくに、私の愛用する快進キャリーバは、引いて歩くことを前提に設計したものですから。

 

「キャリーバッグを押して歩く」という表現は、本当に後から押す場合にのみ使用することになります。

 

あるいは、「キャリーバッグを転がして歩く」という表現もしていくことに致します。

さらに、「キャリーバッグを引き歩く」や「キャリーバッグを転がし歩く」も使おうと考えております。