仕事はいつも戦い | エルコのブログ ~ドイツはライン川のほとりで~

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ドイツはライン川の近くに住むエルコが、日常の風景をお届けします

早いもので、仕事を始めてから10か月が過ぎました。

だけど2月末に退職届を出す決意を固める出来事がありました。

 

結論から言いますと、結局退職願は取り下げて引き続き働くことになっているのですが、何と言いますか…、色々と大変です。

 

私の職場は小学校や幼稚園のお昼ご飯を提供している会社です。

(偶然にも私の娘の幼稚園、そして今年から通う小学校もこの会社のお昼ご飯を注文しています)

そして私の仕事は、それらの食事の入った容器や調理器具を洗う仕事です。

そう、私の学歴(大学卒)や今までの職歴が全く何の役にも立たない、しかもドイツの職業訓練も必要のない、簡単な仕事です。

つまり、最低賃金の仕事。

始めた当初は12ユーロ(これは幸いにも私が仕事を始める直前に法的に義務化されたもの)でしたが、当時の同僚(トーマシュというおじいさん)との問題があって、最低賃金から脱出、13.5ユーロまでアップして貰えました。

当時の職業訓練無しと有りの最低賃金(14ユーロ)の真ん中よりちょっと上。

会社を経営している夫の目から見ても、異例の(破格の)賃上げだそうです。

 

仕事の内容自体は本当に簡単なものです。

鍋やフライパン、ヘラや泡だて器、配達する時の容器や蓋、保温ボックスを洗ったり、床や壁など建物の清掃をしたりするだけ。時間を決めて動いてしまえば毎日同じルーティンでこなせます。

注文の多さによって多少増減はしますが、基本的に午前中は11時までにあらかた片付き、午後注文先から回収されて来た容器や蓋を洗う(これが大量で大変)。

これだけ。

早さと汚れを見つける/見落とさない目を必要とされるだけ。

誰からの干渉も受けず、コミュニケーションも殆ど取らなくて良い、コミュ障の私にとって最高の職場。

かつての仕事の研修先の工場で鍛えられた仕事の早さや正確さなどはこの職業でも応用が利き、仕事を自主的に見つけることもできるので職場の人たちから信頼されています。

 

放っておいてもちゃんと仕事をする

 

そう認識されていますので、6時間の仕事で休憩なんてないんですが、休憩を取っていても何も言われない。ひひひ

 

だけどですね、その勤勉さが仇となるのです。こちらの人たちは怠け者ですので。

自分がやらなくても誰かがやるだろう、そういう思いが蔓延っているので敢えてゆっくりやったりするわけです。

その誰かとは、まぎれもなく私(と同僚も含む)。

 

上の人たちも、本来なら私たちの仕事ではないと分かっているのに、何も解決策を取らないわけです。

だって、私がやるから。

だから事ある毎に現状を訴えていく必要があるのです。生返事しか貰えませんけど。

「怠け癖につける薬なんてないから」と言われたこともあります。

 

そう、これが正に戦い。

 

トーマシュもこの類の人で、夏休み前までは勤勉だと思っていたのに、休み明けには人が変わってしまったのではないかと思うほど働かなくなったのです。

洗い物は持ってくるものの、私の所に届けたらすぐにどこかに消えてしまう。

頃合いを見計らって洗い終わったものを取りに来て、上に片付けに行くのですがそれまでどこで何をしているのか誰も分からない。

午後の一番忙しい時もヘルプを入れてるのに全然片付かない。自分は一番楽なポジションにいて指図してくるだけ。洗った蓋を食洗機に入れるカゴに立てかけてくれ…とか。

そんな暇あるかぁぁぁ!!!自分でやれぇぇぇ!!とブチ切れたのが最初でしたか。

それからほぼ毎週ブチ切れ、さすがに見かねた上の人たちが対策を取るも、トーマシュも弁護士を雇って応戦。

解雇までの期間1か月が義務としてあるので、最終的に12月はその月の給料は払うけれど自宅待機を命じ、12月いっぱいで解雇という流れになってこの問題は幕を閉じたのですが、第2、第3のトーマシュがうようよいるわけです。

 

夏休み明けから1800食の注文が2300まで増え、仕事の量が格段に増えたのですが私の仕事の時間は相変わらず5時間。午後2時には退勤時間になるのです。

でも、仕事は山ほど残っているし、残りは誰がやるのかと言うと当時はトーマシュ、彼が解雇されると同時に運よく(?)入った新しいマックスですが、すべてを片付けず残りは翌日に持ち越し。

誰がやるのかと言うと、洗い場で一番早く来る私…。

残業代が支払われるので残業をして終わらせていたのですが、そうすると毎日6、7時間働いているにも関わらず、私が病欠や休暇になると5時間分しか支払われないという不満があり、6時間にしてくれと何度も何度も訴えても、1時間分払う余裕がないという理由で却下。

でも、残業はして良いよという…。

じゃぁもう、強硬手段だ!!!と、いくら残っていようと5時間できっちり帰るようにしました。

次の日もできる限り終わらせますが、その日の分も追加されて行くのでどんどん溜まっていく一方。

一日中洗い物で、10分のお昼休憩を取る暇もない。

結局、1日2日残業して全てを片付けてリセットするように言われ、1日でリセット。(2日もいらない)

私の必要性をまざまざと見せつけて、1時間の労働時間の延長を勝ち取りました。

今時珍しいですよ?自ら長く働きたいという人って。貴重な存在ですよ、ホント。

 

12月からの同僚マックスは、怠け者ではないようだけれど自分で仕事を見つけることができないし、なるべく早く終わらせよう!ではなく、時間内にこれだけやれば良いという考え方なのか、私からしてみると仕事量が少ない。

2台ある食洗機の1台が壊れ、今まで使っていた大きな食洗機もダメになり、カフェテリアで使ってる食洗機を使う羽目になった時、洗い場には2人、カフェテリアには私一人なのに、圧倒的に私が洗う量が多かった時がありました。

食洗機の稼働時間、それまでの予洗いなどの時間と量を計算して終わるだけの量を残して行ったのに、私が終わらせて戻った時には殆ど進んでいなかったという、泣きたくなる事態がありました。

こちらは時間内ギリギリまで洗っていたのに、下に行ってみたらマックスは洗い物をそのまんま残した状態で、食洗機の電源落として床掃除をしていたのです。

私は狭い空間で予洗い、食洗機への出し入れ、洗い物の片付けまで全部一人でやっていて、下では2人で分業できるので早く終わる筈なのに、どうして何も進んでいないのか?

 

こういった現状をまた上に訴えても状況は変わらず、2月になったら社長が来て色々と改革を進めていくと視察を始めたのです。

洗い場での作業にも口を出し、挙句の果てに「洗剤の消費量が多くて金額が掛かり過ぎるから、今後は洗剤使用禁止」と言い出しまして、ただでさえ仕事の量が多くなっているんだから(1月から更に300食追加)洗剤の使用量が増えるのも当然なのに、冷たい水だけで油汚れを落とせというのか!?

仕事が進まないじゃないか!!

調理場では電気代が高いから、調理は自分で火を起こして調理してね。

配送ではガソリン代が掛かり過ぎるから、各々台車を押して配達してね。でも時間厳守!

そんなこと、言わないでしょう!?

洗い場で洗剤がないって、そういうことですよ!?

経費削減で、今度は水道代が高いからお水の使用禁止!とか言い出すのではないか?

じゃぁ、どうしろっての?舐めろっていうのか????

 

やってらんねぇ

 

これが退職を決意した瞬間でした。

 

つづく