お隣さん② | エルコのブログ ~ドイツはライン川のほとりで~

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ドイツはライン川の近くに住むエルコが、日常の風景をお届けします

子供も無事に小児科に運ばれて夫も戻ってきたので、ようやく私にも子供が生まれ、お隣さんにも無事に良い報告ができると思っていたのですが、看護師さんたちの計らいで、何故か別の部屋へと運ばれてしまいました。

 

「手術後の体は休めなきゃいけないから、赤ちゃんがいると夜中に起こされたりして大変だから、二人部屋だけど子供のいない人との相部屋にしといたわ」

 

と。

 

私たちが部屋に着いた時には夜中の3時を回ろうとしていたので、なるべく音を立てずにその日は夫と別れ休むことにしました。

 

しかし、しばらくすると同室の女性が起きて、バリバリバリバリバリバリ!!とものすごく大きな音を立てて袋を開け、何かの機械のスイッチを入れました。

 

陣痛の疲れや術後の体の具合もありますから、相当疲れていたとは思いますが、やはり興奮しているのかなかなか寝付くことができず、ようやく寝入りそうになった時のことでした。

 

看護師さんたちが来るまでの数時間しかない状態で、更にはその後休む間もなく育児になるので少しは休んでおきたかったのですが、それも叶わず…。

 

前のお隣さんに報告に行きたかったのですが、看護師さんたちがやたらと引き留めようとするんですよね。私の荷物はまだ前の部屋にあるわけだし、どのカバンに何が入っているかなんて分かりませんし、何がいつ必要になるかも分かりませんでしたから、とにかく自分でカバンを取りに行きたかったのですが、少しふらつきがあったために看護師さんの一人が私の荷物をすべて取ってきてくれちゃいました。

 

陣痛が始まって部屋を後にしたっきり戻ってこないわけですし、どうしてるか心配もしてくれてるだろうから、私の口から話がしたかったのにそれもできませんでした。

 

実はこの新しいお隣さんのいる部屋に入った瞬間から度肝を抜かれたんです。

 

ベッドの位置はまた窓際だったんですが、窓際にある病室で唯一のテーブルは生けられた花で少しの隙間もないくらいに埋まっていたんです。

もちろん、私の出産を聞きつけた人が贈ってくれた…わけもなく、すべてお隣さんのお花。

病室に来た看護師さんたちでさえ「すごいわね。もうこんなにたくさんのお花が来たの?」と言うくらいです。その度に否定しなければならず大変でした。

自分のベッドの横にある移動できる台の上にもお花が沢山。

どうやら婦人科系の疾患で入院しているのではなく出産だったようです。

 

 

洗面台の上にも大量に物が置かれていますし、シャワーの中にもシャンプーやら何やら沢山の容器が置かれています。

二人部屋なのにまるで一人部屋のような使い方に驚きました。

 

しかしこんなもんじゃ済みません。

その日は旦那さんが面会に来ていたのですが、面会時間が終わる9時を過ぎてもまだ部屋にいます。

こちらは女性ですし、男性がいる時にはシャワーを浴びたりしたくありませんし、トイレに行くのでさえはばかられます。何より常に他人がいる状態と言うのは落ち着けません。

更に更に、その人の家族や親戚っぽい人たちが大挙して押し寄せ、私の側にある椅子も無断で容赦なく持って行きますし、お隣さんのベッドを取り囲むように大勢の人が座っているのですが、それは勿論私の近くという事でもあります。

 

疲れてうとうとしていても、会話のボリュームを落とすことなく大声で話し続ける人たち。

ひと時の静寂は、その人たちが出かけている時のみ。

 

しかし私もずっと部屋にいるわけにはいかず、小児科に入院している娘のところに授乳しにいかなければなりません。

子供のそばにはいたいだけいて構わないのですが、帝王切開の傷が痛むのもありますし、別の階まで歩いていくのだけでも辛いので、あまり長居はできません。

それで休もうと戻ってくれば、旦那さんがいたり親戚でぎゅうぎゅうになっていたりするんです。

こちらの病院にはカーテンで仕切るという事がありませんから、プライバシーやプライベートな空間と言うものは一切なく、訪問者がいる限り休まることはありません。

 

部屋に帰ってきた時にぎゅうぎゅうになっている人たちの人いきれ、香水の匂いに加えて食べ物の、それもきついニンニクの臭いをかがされなければならないのは、病院食が嫌だというのは分かりますが、本当につらかったです。

病院の窓は開きませんから、換気をする事も出来ず、病室のドアを開けっぱなしにすることが唯一の手段です。

 

就寝時間とか消灯時間と言うのがないのですが、私は大抵9時か10時には明かりを消して休むことにしています。

しかしこのお隣さんは夜の11時過ぎにニンニク入りの差し入れを食べ始め、(しかも口を開けて食べている!!!)テレビの音はヘッドホンをしていても漏れ聞こえてきますし、何より暗い部屋で煌々とテレビがついています。

 

別の日にはすべての電気を消して暗くなってから、何かの用があったのか看護師さんを呼びました。看護師さんは部屋の明かりをつけたのですが、消すのを忘れて行ってしまいました。

するとお隣さんは毛布(と言うのかシーツ?)を被って寝ようとするではありませんか。

電気のスイッチはお隣さんの隣にありますし、そもそも看護師さんを呼んだのは彼女です。

看護師さんが忘れたとしても、呼んだ人、近い人が消すべきではないのか????

これは私の仕事じゃないわと言わんばかりの態度だったので、待っていても暗くなるわけではありませんから、仕方なく起き上がって電気を消しに行きました。

 

トイレのドアをバンバンと閉めるわ、バリバリバリとビニルを開けるわ(搾乳するためのツールが入っているから仕方ないとは言え)、訪問客は時間に帰らないわ、電気は消さないわ、夜中に臭いのきついご飯を食べるわ、テレビを付けながら寝入るわで、もうこの部屋に来てから3日はきちんと寝ていませんので、我慢の限界を迎えました。

 

私を運んできた看護師さんは、明日になって一人部屋が空いたらそっちに移れるなんて言ってたので楽しみにしていたのに、そんな話は立ち消えになってしまい、もうこれ以上は耐えられない、傷も癒えない、休まらない!となったので、嫌でしたがこちらから看護師さんに相談しにいきました。

しかし残念ながら分娩室もいっぱいになるほど出産を控えた妊婦さんたちがいて、出産後の入院の部屋をどうするかで困っているくらいだと言われてしまったので、部屋を変わる事はできませんでした。

12時を過ぎてもテレビの明かりがついていて眠れない。本人は寝ていると伝えると、「あり得ない!!」と私の代わりに憤慨してくれた看護師さんが注意しに来てくれ、その日は何とか平穏が訪れたのでした。

 

普通分娩の入院期間が3日、帝王切開が4日。

彼女の出産は帝王切開で、私より1日早いだけでした…・

静かに過ごせる日が一日しかないという事です…。

この夜が明ければ、彼女は退院する。

この夜が明ければ、彼女は退院する。

 

そう自分に強く言い聞かせ、心の平穏を保とうと必死でした。

 

何というか、この人、自分がお姫様か何かと勘違いしているようなんですよね。

些細な事ですぐに看護師さんを呼ぶし。

点滴が終わるのを待ち構えて、最後の一滴が落ちた瞬間にボタンを押し、頼んだことがなされないとすぐにボタンを押し、普段は出歩いてるくせに痛み止めを貰うためにボタンを押し…。

さすがにこの時は「歩けるんだから、何か欲しいものがあったりしたらナースステーションまで自分で取りに来て!」と言われていました。

あれ持ってきて、これ持ってきて。これを下げて、みたいなことを平気でやっていますし、私がいても自分一人かのように振舞って、音を立てないようにとかそういう配慮も一切なし。

 

看護師さんは子供がいると眠れないだろうからなんて言ってましたが、子供が泣いたりするのは当たり前のことですから気になりませんが、大人が配慮も遠慮もなく夜中でも何でも音をたてたりするというのは我慢ができません。

気を遣ってくれたことが却って仇となってしまった格好です。

 

前のお隣さんが本当に懐かしい…。

程よい距離間、心地よい配慮。就寝時間も同じくらいでしたし、むしろこちらから一緒の部屋を申し出たいくらいです。子供の泣き声が何だって言うんですか。

私だって出産したばかりですし、子供がいるんです。

子供が出す音や泣き声に文句を言う人なんていませんよ。

産後は休めとか何とか言う割に、全然休むことができない入院生活でした。

 

ちなみに、前のお隣さんは普通分娩だったので3日の入院で帰宅。

その前に私の部屋まで来てくれて、おまけに選別としてチョコレートまで用意してくれる人でした。

 

ちなみに、この酷いお隣さんは、退院する際に不要なものはすべて置いて帰るという人でした。空になったシャンプーのボトルや、飲みかけのペットボトルなどなどすべて置いてってましたし、自分がいなくなるならせめてテーブルの上を占拠している花瓶たちを自分のベッドのところに置いて帰るくらいはしてほしかったのですが、案の定そのまま。

 

もう、何というか、天国から地獄に突き落とされたような入院生活でした。