女たちはどう生きてきたか 山崎敬子 3 | 気になる映画とドラマノート

気になる映画とドラマノート

厳選名作映画とドラマを中心に、映画、テレビ番組について、思いついたこと、美麗な場面、ちょっと気になる場面に注目していきたいと思います。

女たちはどう生きてきたか 山崎敬子 3

 わたしは田中の身体にむしゃぶりついた。

 いつ刺されたのか、記憶がはっきりしないくらいだった。

 しいていえば、右の下腹のほうに、ちょっと鈍痛を感じたらいだった。
 気が立っていたせいか、別にきにならなかった。
 そのうちに、右の足がつれてきたので、おやっと思って手をやって見ると、下腹のほうに血がべっとりと出ているようだ。その時はじめて、刺されたと思った。

 田中はきがついていない。
 気がついていないばかりか、なおも私の上に馬乗りになって首をしめようとしている。
 私は首を締められながら、片手で自分のスカートをまくりあげて、


(続く)

昭和24年の雑誌に載った山崎敬子さんの手記