授業後の社内会議。議題は「時代に合わせた指導」

 

 

いや~…昨日、女子高生のKちゃんに言われたことが響いててさ…。あ、海和先生は知らないね。

 

詳細を言うと、昨日Kちゃんが早坂に猛然と食ってかかってて。どうして日曜、月曜に来てくれないのか、私が来週の校内テストでひどい点を取ってもいいのかと。オレ、それを傍で聞いててさ…。それならいいよ、日・祝どっちかオレが来て教えるよと言ったら「え…いや…」と露骨に嫌がってさ(早坂・海和爆笑)

 

どうもオレは「圧がすごい」んだってさ。こんなのも分かんねえのかと言われそうだと。いや~効いたよ…。

 

早坂「だから私は言ったんですよ。もう1年以上あいつに言ってます!工藤先生が直接お前にそんなこと言ったか?って」

 

いや、いいんだもう…オレはようやく分かったよ。どうしてKちゃんは中3のときオレのクラスにいたのに、ずっと微積を海和先生に聞くのかって(画面向こうの三人爆笑)

 

早坂「いや、アイツがおかしいんですって!(←明らかに笑いをかみ殺している)

オレ、言っときますよ!もっと工藤先生に聞きなって!」

 

それはヤメろ…ミジメじゃねえかえーん。嫌がってる人を無理に仕向けなくていいんだよ。

 

それに「こんなのも分かんねえのかと言われそう」ってやつさ、確かにオレは自信がない。「10回は言ってます!」と言われたら否定できない。オレは授業でよくそういうことを言うからな。「こんぐらい解けなきゃ話にならない」とか「こんなん一目だ」とかバンバンね。

 

理由と言うとさ、

難しい問題って下から見上げてちゃ解けないからね。「私、解けるかしら…」「難しいんだろうな…」「おそらくできないよな…」こういうことでは閃くものも閃かないんだよ。部活でもそうでしょ。ヒット打てるかな、シュート放てるかな…こういう精神状態ではまず成功しない。オレは決めれる、打って当然、こう思えないと勝負には勝てないよね。それと一緒だよ。生徒たちにはビクついてほしくない。だから難問を見て「こんなん余裕だ」「これぐらい解けなきゃ受かんない」と上から目線で問題に当たる。

 

それを聞いて、「チックショウ!」「オレはまだまだだな!もっと勉強しねえと!」「次こそは!」を期待してるんだけどさ、

 

今の子たちは「じゃあ解けない自分はダメなんだ…」「私はバカなんだ…」と傷つき、人によっては泣いてしまう。そして、こないだはどうしてあんなひどいことを言ったのかとか、もっと自信を持たせるような指導はできないのかと言われるんだ。

 

 

オレも昭和の体育会系だからな。今の時代に合わせないと生きていけないんだよ。だから今日の授業なんかもさ、、、

 

「この数学は解けなくてもいいからねニコニコ」「理社とか漢字の暗記がんばろうねニコニコ」と何回言ったことか。大丈夫、大丈夫と…。圧がすごいと言われないようにひたすら安心させて。(後ろで聞いてた土田先生が笑いながら何度もうなずく)

 

だから今後はさ、社内でも時代に合わせた指導をと思ったわけ。みなさんどう思う?

 

 

海和「私もそうですね…体育会系なので今の話は考えさせられました。そうですね…今の子たちに合わせていかないといけないかもですね」

 

土田「私は『〇〇高校を受けるならこれは解きます』という言い方にしていますね」

 

早坂「まあそうですけど…。勉強に自信ない子はそれでもいいんですけど、でも工藤先生のSクラスは今まで通りでいいんじゃないですかえー??だってそのぐらいできないとダメなのは本当のことじゃないですか。『それを解けなくてもいいんだよ~』って言うのはなんかちょっと…。それに親だって子供にもっと勉強してほしい、もっとビシビシやってほしいって思ってるんじゃないですか?」

 

 

「勉強してほしい」はたくさん言われるけど、「ビシビシ」はないな。昔はほぼビシビシ、ガンガンだったけど最近はその意見はホント減った。やっぱり親も変わって来てるんだと思う。

 

早坂「ええ~…?いや~、一高とか二高に行こうとする子にはもっとガンガンやっていいと思うけどなあ」

 

 

そうなんだよね。だから解けないなら一高を受けなきゃいいんだよ。もし下を受けるなら「オレもこんなん解けなきゃ終わりだ」とか言わない。「解けなくもいいんだよ、大丈夫だからね」と優しくやる。でもそういうところを受けるというからさ……オレも落ちるの見たくないじゃん。だからつい、こんなものはさ!とアツくなる。でもそうすると傷ついて、圧がすごいってなる。

 

いや~もうさ…ビシビシの時代じゃないんだよおそらく。たとえトップ高を受ける子でも優しく手を差し伸べるべきなんだよ。部活の顧問とかはどうなんだろう。「今の打てただろ!」とか「なんでサインを見逃してんだバカ!」とか口角泡を飛ばしながら言ってる人はまだいるんだろうか。

 

講師陣「いや~いないですよねぇ汗

 

オレが一高の頃にいた英語の中島先生のような先生は今学校にいるんだろうか。

 

生徒に対して、

「こんなのも分かんねえのか、この低能ッ!」

「お前は知性がない。つまり生きてる意味がない。死になさい」

「立っちょれ、このスピロヘータ!」

 

(↑スピロヘータ。梅毒の病原菌。)

 

4階なのに目を剥いて窓を指さし、「キサマ!飛べッ!今すぐ飛べ~ッ!」

 

 

講師陣「今は絶対にいないですね汗

 

いや、オレも中島先生ほどひどくはないんだけども(笑)。でもあの人がいたおかげで、クソ~!と勉強したもんだよ。

 

でも今の子たちはチクショウ!とはならないでしょ。女子だけでなくて、男子も傷ついちゃうから。取り合えず入試までは過激な発言は慎んで、優し~く、優し~く行くことにするよ。