(前回の続き)

 

不満「ボクは絶対に、絶対に、絶対に、絶対にA高に行きたいんです!」

 

だからそういうのはやめなさい。ストーカーだって。

仕方ない。一つ一つ教えてやろう。

 

 

・まずA高はあなたの今の成績なら普通は受かる。内申点も十分、偏差値もボーダーから+2の間を行き来していて、倍率も高くない。確率でいったら70%で合格だ。「70%じゃイヤです!100%ほしいです!」と言うのなら3段階下げてE高を受けなさい。そこなら100%に近い確率で受かるだろう。ちなみにそういう人は世の中に一定数いる。高いところでガンガンやるのは自分的にはたぶん無理、ゆとりをもって高校生活を送りたいと考える人たちだ。

 

 

・さっきA高は70%だと言った。しかしそれはあなたが今の力を本番で十分に発揮できたらのことだ。もしも「絶対に、絶対に!」と目が血走って、肩に力も入って、視野狭窄に陥ってたら本番で実力を発揮するのは難しいだろう。だから今の状態はキケンだと言ったんだ。どれだけ自然体でいられるかが重要だ。言い換えると、落ちても構わないとどれだけ腹をくくれるかだ。

 

・でも本当はね……腹をくくる必要はないんだよ。真のツワモノは、受かりたい!とか落ちたくない!とかは考えないから。彼らはただひたすら目の前の勉強に集中して打ち込んでんの。入試前日になって、ああ明日か…みたいな感じ。キミもそうなれればいいんだけどな。

 

・そしてこのことも言っておこう。今の実力ではA高に届かないと思うのなら…別に恥ずかしいことではない。ここは一旦引くべきだ。引くというのはランクを下げるということだ。C高やD高がそんなに劣るかというとそんなことはない。C高の高3平均点はB高の平均点を上回っているらしいからな。名を取るか、実を取るか。自分の精神状態と合わせて冷静になって考えるべきだ。

 

・あと私立はどうなんだろう。もし私立のいいところに受かっていて、そこに行っても構わないと思うのなら初志貫徹でA高を受けてもいいだろうね。オレの教え子で私立から東北大に行ったり現在合格圏に達していたりする高校生がいるけど、彼らは口々に言ってるよ。もし公立だったらこんなに勉強をやってないって。私立の方が結果幸せだったことなんてザラにある。そんなね…落ちたらもう救いようがないみたいに考えるのはどうも視野が狭いと思うね。

 

 

ここまでじ~っと話を聞いていた男子の表情を探ると、少しは理解してくれたようではあるものの、まだ何となく浮かない顔。

 

そんなにA高、A高って思ってんだな。。。

 

「ハイ…絶対に行きたいです」と男子。

 

ふ~ん、そっか…。どうも、絶対に医学部、医学部って言って毎年受験している浪人生みたいだな。そうやって6浪、7浪、8浪とチャレンジし続ける人をなんていうか知ってるか?

 

「え…知りません」

 

「医多子の医多浪」って言うんだけどね。彼らもほかの選択肢なんて絶対ないんだろうな。一回、保険をかける意味で歯学部とかほかの学部に入っておいたらと思うんだけど。それでもどうしても医学部を目指したいなら大学生をやりつつ、帰宅後に受験勉強して受け直せばいいじゃん。オレの知り合いにもそういう人がいるよ。歯学部に在籍しながら親に内緒で仮面浪人して翌年医学部に受かった人。周囲はたいそうビックリしたらしいけど、まあ親としてもその方が安心だわな。そういうのをなんていうか知ってる?

 

「さあ…」

 

歯医者復活戦って言うんだ。

 

「ハハハ」

 

まあとにかく、広い視野と柔軟性をもって頑張ってくれ!