「次は英語なんですけど……どういう勉強をすれば?」
新高3になる男子生徒Nとの学習相談の続き。Nはカバンから英単語本を取り出しました。
「ボク、英語は単語だと思うんですよ。この単語帳は学校で使っているやつです。公立のトップの学校でもこれを使っているみたいですけど……」
うん、「英語は単語」というのは間違いない。中学生にだったら「英語は文法」と言うところだけど、大学受験を控えている高校生には、単語を勉強しろと言いたい。それで?その単語帳はどういう特徴があるの?
Nは本をパラパラとめくり、単語が宗教とかアウトドアとかいろいろなジャンルに分けられているので覚えやすい点をあげました。
なるほどね。オレはフレーズで覚える駿台文庫の「システム英単語」がいいと思うけど、こちらも単語だけじゃなく一応例文はあるんだな。
英単語の暗記はな、「単語のみ」を覚えるのではダメだ。動詞ならセットで使われる前置詞も覚えないと。depend on とかcompare with とか。文で覚えるのは長い。でもシス単なら短いフレーズになっているからコスパがいい。こっちは仕事をしている身だ。お前たちのように一日何時間も勉強時間が取れるほど恵まれてはいない。この本もいいけど……効率を追い求めるとやっぱりシス単かな。で、どうやって単語の勉強してるの?
「ハイ、ボクはこれを毎日見ています。暇さえあったらパラパラとめくって」
え?見るだけ?
「え?ハイ…たまに書いたりしますけど…」
え~!効率悪いな。それで覚えられる?
「いえ、覚えられないです(笑)だからどうやってやったらいいかなって」
英単語はな。音だよ音。またシス単で悪いけど、これには別売りのCDがあってな。
このCDでは1単語を
①英単語
②英フレーズ
③日本語訳
④英フレーズ×2
の順に言ってくれる。この辺も最高だ。たとえば一発目のこれ。
①follow
②follow her advice
ここまでで約2秒。この間にfollowの和訳を言えたらオレの勝ちというゲームをやった。
このあとすぐに、
③彼女の助言に従う
と正解を言われる。やった!勝ちだ!とか、クソー!それか!とドラマがあって、でもすぐに
④follow her advice
と来るからこちらもすぐに、follow her advice。
また、
⑤follow her advice
と言うのでこちらもまた、follow her adviceと言う。このCDケースの背面に「バリバリ、シャドウイングしよう」と書いてあるだろ。これは至言だ。英語は、聞いてその通りにしゃべる。これが一番覚えられる。その本には付録で音はあるの?
「ハイ、巻末のこれですかね。QRコードがあります。使ったことないですけど(笑)」
英語は絶対に音だ。意味だけじゃなく発音もアクセントも覚えられるから一石三鳥だ。
またオレの10年前の勉強の話をしよう。オレは文法は知っていたが単語が壊滅的だった。試しに前年のセンター試験の長文を読んだけど知っている単語は全体の半分ほどできれいに抜けていた。一高の先生が言っていた通りだ。単語はやらないと1日10個抜けるからな!って。これを残り2か月で100%近くまで持っていかないと勝負にならない。ってことでいろいろ英単語帳を調べてシス単に行きつき、CDも買った。
さっきの2秒ゲーム。あれを塾の行き帰りの車の中で毎日やった。毎日だ。当時は名取教室しかなかったので、自宅から名取教室までの片道30分×往復分2回×週6回を英単語の勉強に費やした。運転中も信号待ちの間もずっとしゃべっているんだ。もしほかの車の人がこっちをのぞいたら、ずっと口をパクパクして悔しがっているから気味が悪かっただろうな。本当は本を見ながらやれたらいいんだろうけどね。お前は学校まで自転車か?
「ハイそうです」
その間に聞きまくるんだ。自転車だとしゃべるのはアレか(笑)でも今から本番まで9か月もあるんでしょ?毎日の行き帰りでやったら完璧に覚えるだろうね。
あと、本はずっと肌身離さず持っているように。オレの場合は、たとえば夜、友達と飲み会があって一番町で待ち合わせたとき。そこでも通りには背を向けて本を開いて読んだ。あの時間のあの場所で勉強している人間なんてなかなかいないだろうけど(笑)
トイレにも決まって持ち込んで読んだ。塾へ行く途中の牛丼屋やラーメン屋でも読んだ。英語の安河内先生は知ってるか?あの人の本に、食事中に何もしていない人の気が知れないとあった。ラーメンを食べている間、左手が空いてるだろと。それを使わないのはもったいないだろと。彼は懐からノートを取り出して勉強していたらしい。ホントその通りだよ。
「へ~、でもボク…食べるの遅いんですよ。ただでさえ遅いのに、勉強しながら食べてたら…もっと遅くなります(笑)」
えー?それはダメ。メシが遅い人は仕事ができない人だからな。
「え?そうなんですか?」
日本電産の永守社長の本にあった。バブル期の頃、何百人もの入社試験の面接がめんどくさいから、全員に弁当出したんだとさ。それで一番早く食ったものから順に採用したらしい。なぜならメシを食うのが早い人間は仕事ができるから。オレも100%同意。ちなみにオレは誰よりも早く食う割にそんなに仕事はできないけど(笑)
「そうなんですか…早食いか~…」
だって食ってる間ヒマじゃんか。早く食べれたらその分ほかに時間使えるんだぞ。早く食うのは健康に悪いからよく噛んでゆっくり食べようなんて教えがあるけどな。あれは間違ってるからな。たとえ不健康であっても早く食って動け!だいたいボーっと役立たずのまま長く生きてどうすんのよ。太く短く生きよ!
「いや~
先生、相変わらずですね~。そういうの好きッス」
だいたいな、勉強というのはな。
メシ中もそうだけど、さっき車の移動中とかトイレ中とか、そもそも何かをやっている最中、同時なのがいいんだ。勉強だけをやれる時間があるのなら数学をやれ数学を。英単語なんかにまともに時間を使うんじゃない!
お前は三上を知ってるか?
古代中国の話で、アイデアがひらめいたり考えを整理したりするには三上がいいんだとさ。
三上とは、馬上・枕上・厠上(ばじょう・ちんじょう・しじょう)のことを言う。
馬とはすなわち移動中。枕は寝るとき。厠はトイレ。この間が一番インスピレーションが湧くのだとか。ここを暗記に使え。
馬、トイレ、食事中は英単語の暗記。寝る前はさっき言った理科の壁を見て暗記。
三上に食事を加えたこの「四上」を上手に暗記に費やすことだ。オレはさっきのを2ヶ月やって、センターレベルなら知らない単語はなくなった。お前はまだ9ヶ月もあるんだろう?十分間に合う。大丈夫だ。
「いや~すっごいタメになりました!先生、次は数学です。数学を上げるにはどんな勉強を?」