「え~ん、親に携帯取られた~~……ヒデ~~えーん

 

 

何言ってんの。お前のお母さんは素晴らしいよ。感謝しなさい。

 

「うわ~ん、ヒデ~~……えーん

 

バカ。必要ねえんだよあんなもん。麻薬じゃねえか。

 

多くの親はね、取り上げたくても一度あげたらもうできないの。それなのにお前の親は子供に嫌われるのを覚悟でやったんだから。エライもんだよ。なかなかできないって。

 

 

ああ…それにしても明日はAの家との面談か……。胃が痛い……。

 

A「なんでですか?」

 

中1のときお前をビンタしただろう。明日は改めて土下座するよ。

 

A「いや、オレは中1のとき先生に殴られなかったらクソのままでした。先生のおかげで成長できました」

 

 

え?

 

 

いや~…………汗

 

 

お前がそんなふうに言うとはな………汗

 

 

でも、確かにお前は1年前よりもいい男になった。しかし手をあげるのはダメだからな。そこは悪かった。

 

 

男B「いいんじゃないですか?ウチの親も言ってました。先生は昭和だからいいって」(はい?)

 

男C「ウチの親も先生にすごい感謝してます。悪いことしたらどんどんぶっ飛ばしていいって」(いやいやあせる

 

男D「去年、先生はNを背負い投げしたじゃないですか。あれを親に言ったら素晴らしい先生だと」

 

バカあせる親にそんなことをチクってんじゃない!暴力教師だと思われるだろ!

 

オレはもうこの時代にはついていけない老害だ。いつ引退しようかとずっと考えてるんだから。

 

宿題もやらないし、反省もない。怒ってもやらないし、ぶっ飛ばすこともできない。どうすりゃいいんだ。もう自殺しようかと思ったよ。そうすればお前たちが「え~っびっくり!ボクたちのせいで…えーん先生〜すいませんえーん!」となるのかなと。

 

でもすぐに違うと分かった。お前たちは「ラッキー!あいつは、宿題宿題ウザかったからな」「キモイのがいなくなってせいせいするわ」とあざ笑うだろう。そう考えたらだんだん腹が立ってきてな。

 

ほら、10時まであと30分!残ってやれい!