先日、私は定期試験に向けてほかのクラスにも入って指導しました。
知っている人が知らない人にやり方を教える。
これは自身の勉強にもなるのでOKです。
私は成績上位のクラスではめったに褒めませんが、こちらでは一問できるたびに「すごい!」「おお、よくできたね!」とわざとらしいほど褒めまくることにしています。
「自分はどうせバカだから…」とか、「無理。どうせ私にはできない…」という思考回路に一度陥ると、そこから引っ張り上げるのはとても困難なのでそこだけは回避したい。
保護者の方にも言っておきますが、くれぐれも我が子にバカだねとか言っちゃダメですよ。
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「ということで、ちょっと理科やろうか
力×距離=仕事
ニュートン(N)×メートル(m)=ジュール(J)
この計算問題は絶対にテストに出るからね!ハイ、じゃあこれを計算してみて」
じっとボードを見つめる男子
なかなか手が動かない。
「う~ん…なんでかな~…。このシンプルな公式に入れるだけなんだけどな~(イライラしない…優しく…優しく…)」
「じゃあやり方を教えよう。こうやってこうやって…こうなる。じゃあ公式消すよ。数字も変えて…と。ハイ、じゃあやってみて!今度はでき…てほしいけどなぁ
」
生徒、ホワイトボードの数字を眺めて固まったまま。う~ん、やっぱりキツいのか…。
「分かった。じゃあもういい。筆箱出して」私は意を決して言いました。「どうしても覚えられないならもう公式を筆箱に書こう」
「えっ?」
男子だけでなく、周囲もビクッとして振り返る。「えっ?」「いいんですか?」
「いいよもう。覚えられないんだろ?筆箱に小っちゃくN×m=Jと書いたって誰にも気づかれないって」
「え…」「で…でも…」「そ…それは…」
「いいのいいの。小っちゃくさ。ちょっとくずした感じで書けばバレないから。だいたいこの問題を解けない方が罪だよ。ほら、筆箱出せ」
(ふふ…大学時代よくやったなァ。物理の複雑な公式をフニャフニャにくずしてどこからどう見ても落書きにしか見えないようにしてさまさか生徒にやることになるとは)
恐る恐る下からペンケースを取り出す男子。
ぱっと見た感じジーンズ生地で作られたそれは結構年季が入っていた。
(よし!真っ白い新品だったらちょっとマズかったけどコレなら…)
受け取って、さて…どこにどう書こうかと思っていると…
「ナニコレ!」
「え…」
「なんだこれは!う〇こから湯気が出てるじゃねえか!しかもご丁寧にunkoと書いてあるぞ
!」
「あっ…それは…」
どれどれと集まる周囲。一気にクラスは大爆笑の渦に。
「なんなんだよこれは!ああ、バカすぎる~
!この知性のかけらもない筆箱はどうだ…
(下にカービィまでいるし)
全然知的じゃない!お前がアホな理由が今分かった(←くれぐれも生徒に言っちゃダメな言葉)
この落書きのせいだ。漫画でバカなキャラクターの筆箱には大体このようなう〇こマークがあるものだ(あ~腹イタイ…)
「これは友達に書かれたんですよ」
「お前さ…悪いことは言わないから。成績上げたいならまずはこれを変えろ。道具から入ることも大切だからさ。(ああ…腰に来た)」
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本日、このクラスに来たらもうテストが返された男子が社会99点でしたと悔しそうに(嬉しそうに?)報告してきました。何言ってんの、立派だよ立派!
明日は増田中かぁ。みんな頑張ってほしいなぁ!