中3、後期入試まであと8日となった昨日の授業後、トップ校の一つを受ける女子がスッと私のところにやってきました。
「先生~、あたし全然緊張しなくて怖いんですけど」
この子は偏差値も内申点もボーダーラインを超えているし、性格もこのようにひょうひょうとして落ち着き払っているし、一生懸命勉強しているおかげで最近の予想模試の得点も充実している。三者面談では、私は確か合格可能性の欄に結構高めの数字を出したはずだ。
「緊張し過ぎで頭が真っ白になる人の話ばかりしてたけど、お前は逆なんだ」
「そうなんです。来週入試という感じがしないの。逆にヤバくないですか?」
「ふ~ん、適度な緊張は必要だけどなぁやっぱり」
「ですよね~。どうしたらいいんでしょう」
「焦るな!とか落ち着いて!とかじゃなくて、オレは逆にもっと焦らせた方がいいのか?」
「ハイ、そうしてもらえると
」
「よし、ではいくぞ。
お前さぁ、倍率1.6倍って結構ヤバいぞ。お前の偏差値はせいぜい+2~3だろ?そんな吹けば飛ぶようなシロモノでよく安心できるな。トップ校を受ける人はみんな実力あってテストで差がつきにくいんだから。誰が受かっても落ちても文句は言えない。お前が偏差値72、3あるならいいけどそうじゃないよね。このままだとヤバいって。
……え~と、これでいい?」
「あ、ハイ
ちょっと喝が入りました」
「なんなんだよこれは
」
******************
女子が離れると、入れ替わりに男子が「先生」と。どうした?
「先生、僕の受かる確率は何パーセントですか?」
ふ~ん…先ほどの授業で言ったことが気になっているのだろう。
倍率が出てから職員会議で改めて合格可能性を振り直した。数字が低い人には勉強面だけでなく精神面でもサポートを…ということを昼間に真田先生と加藤先生と確認した。そういうことをさっきみんなの前で話したのでした。だからかな。
「先生、僕の受かる確率は…」
「ああ、そうだなあ…でもお前は最近予想模試の出来が良くなってきてるよな。伸びてきているよ」
「ああ、ハイ。ありがとうございます。それで何パーセント…」
「今までお前は理社で稼いできたじゃん。でも数学も英語もさっき返したやつ、点数が良かったよね~」
「そうですね。…で、先生、僕の受かる確率は」
無表情で同じことを棒読みでしゃべる男子。ロボットのようだ。
「予備倍率が0.6倍のときは余裕と思ったけど、ふたを開けたら1.2倍だもんなぁ」
男子をちらっと見る。硬直している。
「まあ、自分を信じて頑張って」
「先生、僕の受かる確率は何パーセント…」
周りの女子がクスクス笑い出した。
「いいじゃんそんなの。その数字を聞いてどうすんの。90%だと安心か?60%だと焦るの?そんなものに惑わされずにやることをきちんとやることが大事なの」
「・・・・・・」
へんじがない。ただのしかばねのようだ。
「わぁった、わぁった!80%だよ!だからどうした!……聞いてどう思った?」
「あ、がんばります」
「なんなんだよホントに
」


