<タイトル>

魅せられて

 

 

 

 

<作詞>

阿木燿子

<作曲・編曲>

筒美京平

<アーティスト>

ジュディ・オング

<解説>

 台湾出身の歌手ジュディ・オングさんの代表曲の一つです。

 歌謡曲ともポップスともつかない不思議な曲調がまさに魅力的なナンバーとなっています。

 子どもの頃から好きな曲なのですが、テレビでジュディさんが歌うとき、独特の羽つきドレスを着ていて、サビの部分ではそれを開いたり閉じたりするのが興味深い演出だなと思っていました。

 ジュディさんは多芸多才な方として知られていますが、たまにバラエティ番組などで拝見すると、まだまだ現役で活躍なさっているお姿に励まされます。

 生涯現役ってかっこいいですよね。

 難しそうですけれども(汗)

<タイトル>

交響曲 第5番 変ロ長調 作品100

<作曲者>

セルゲイ・プロコフィエフ

<おすすめCD>

ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

 

 

アジス・ショハキモフ(指揮)
フランクフルト放送交響楽団

 

 

<解説>

 旧ソ連の作曲家プロコフィエフの、全部で7曲ある交響曲の中で、もっとも人気の高い作品です。

 彼はもともと政治には関心を置かない人物だったのですが、ナチス・ドイツ軍のソ連侵攻を受け、作曲家である自分が祖国にできることを模索した結果、生み出されたのがこの5番です。

 作品番号が100の大台にのぼることを、プロコフィエフもかなり意識していたようで、作曲に当たり相当気合いを入れたようです。

 初演は1945年1月13日、モスクワ音楽院大ホールにおいて、作曲者自身の指揮、モスクワ国立交響楽団によって演奏され、大成功を収めました。

 同時にこの演奏会の様子は、ソヴィエト全域にわたってラジオ中継され、戦地の最前線にいる人々の心を慰めたのです。

 プロコフィエフ自身の述懐によれば、この交響曲は「苦難の中にあっても、必死でそれと向き合っている高潔な人々の、魂への賛歌である」そうです。

 プロコフィエフは論理ではなく感性で作曲するタイプの人だったようですが、彼特有のコードやコード進行――ふわふわしているが、どこか気持ちの安らぐそれを、随所で聴くことができます。

 おすすめしたのはカラヤン&ベルリン・フィルのスタジオ録音です。

 かつては過激な演奏のCDばかりあさっていましたが、いまでは過不足のない本盤に落ち着いております。

 プロコフィエフの円熟した筆致を楽しめますので、ぜひ。

 映像で楽しみたい方はショハキモフさんのライブ録音をどうぞ。

 きびきびとしていてスッと聴ける名演になっております。

<タイトル>

ファスト・アズ・ア・シャーク

 

 

 

 

<収録アルバム>

レストレス・アンド・ワイルド

 

 

<アーティスト>

アクセプト

<解説>

 ジャーマン・メタルの雄、アクセプトの名曲です。

 はじめ「は~いでぃーはい」という少年合唱が歌われ、「あれ?」と思った次の瞬間レコード針のスクラッチ・ノイズ、そして「あああああっ!」というヴォーカル、ウド・ダークシュナイダーの衝撃的なシャウトが入り、メインの楽曲に突入するという面白い構成になっています。

 冒頭の少年合唱は、もともとはプロイセンの「Ein Heller und ein Batzen(銅貨一枚、銀貨一枚)」という民謡だそうで、レコーディング・スタジオのオーナーであるディーター・ダークスが少年時代に歌ったものだということです。

 とにかくキャッチーでスピード感のあるキラー・チューンになっておりますので、すっきりしたいときには最高の一曲です。

 ドイツ人のメタルはわかりやすいという個人的なイメージがありますね。

 かっこいいメタルでしびれたいという方はぜひ。

 

【サルガッソー】

 

ミザル(赤)
キカザル(青)
イワザル(黄)

自作小説「怪盗ホラーキャット」に登場する伯爵家の武装執事・三猿(サンザル)のイメージ画です。

<タイトル>

交響曲 第82番 ハ長調 「熊」

<作曲者>

ヨーゼフ・ハイドン

<おすすめCD>

ブルーノ・ヴァイル(指揮)
ターフェルムジーク

 

 

アンドレス・オロスコ=エストラーダ(指揮)
フランクフルト放送交響楽団

 

 

<解説>

 1780年代の前半、パリにコンセール・ド・ラ・ロージュ・オランピックという新しいオーケストラが設立され、ハイドンのパトロンであったドーニ伯爵が新作の交響曲の作曲を依頼、これを受け1785年から翌年にかけて完成されたのが、この第82番から第87番にいたる6曲で、通称「パリ交響曲」または「パリ・セット」と呼ばれます。

 サブタイトルの「熊」は、終楽章冒頭の低弦によるモチーフが、熊のうなり声のように聴こえることに由来するのですが、これはハイドンの存命中からすでにそう呼ばれていたようです。

 この「熊」を含む「パリ交響曲」は、ハイドンが培ってきた作曲技法がいかんなく発揮された傑作群で、古典派のクラシック音楽としてはポップな曲調もあいまって、楽しめることうけあいです。

 ぜひ「うなり声」の部分に注目して聴いてみてください。

 特にもこの終楽章は手に汗を握るスペクタクルな音楽ですので、ハイドンの仕掛けたトラップに陥ることでしょう。

 おすすめしたのは、ハイドンなどの作曲家が存命だった時代の演奏を再現しようとする試み――「ピリオド・アプローチ」などと呼ばれます――それをやっている楽団であるターフェルムジークと、彼らを統率するやり手指揮者ヴァイルの名盤です。

 キビキビしてかっこいい音楽に仕上がっておりますので、ハイドンの妙味を存分に堪能できるでしょう。

 彼らによるハイドンの録音をまとめたセットがSONYから廉価で発売されていますので、奮発してどっぷりつかるのもありですよ。

 映像で見たい方はオロスコ=エストラーダさんによるライブ音源をぜひ。

 現代オケながらピリオドに寄せているところが興味深い名演になっております。

心が折れそうになったときのプレイリスト 第161曲

 

<タイトル>

ピアノ・ソナタ 第17番 ニ短調 作品31-2 「テンペスト」

<作曲者>

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン

<おすすめ音源>

スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ)

 

 

ダニエル・バレンボイム(ピアノ)

 

 

<解説>

 作曲された時期としてはちょうど、ベートーヴェンが難聴に苛まれはじめたときであり、有名な「ハイリゲンシュタットの遺書」が書かれたのもこのころです。

 友人に当てた手紙には、「自分はこれまでの作品に満足していない。新たな道を進むつもりだ」との趣旨がつづられています。

 サブタイトルの由来については、ベートーヴェンの弟子であるアントン・シントラーが、この曲のイメージするところを師にたずねたところ、「シェイクスピアの『テンペスト』を読め」と語ったからだとか。

 シントラーは「捏造魔」として知られており、師ベートーヴェンを英雄化するため、けっこうな数の偽エピソードを作っています。

 この事実は本人による述懐によって明らかになっているのですが、この「テンペスト」の由来もあやしいものです。

 しかしながら、「テンペスト」は「嵐」の意味であり、このソナタの曲調はいかにも「嵐」っぽいですから、ある意味ではふさわしいのかもしれません。

 こういうことにうるさいファンも多いようですが。

 全3楽章のすべてがソナタ形式で書かれているのが興味深いですし、単純にかっこいい音楽です。

 天気が悪いときにかけると、なかなかマッチします。

 おすすめしたピアニストは、旧ソ連オデッサ出身で、天才の名をほしいままにしたリヒテルです。

 数種類の録音がありますが、「大木をなぎ倒すよう」と揶揄された彼の芸風のとおり、どれもパワフルで聴きごたえがあります。

 映像のほうはバレンボイムのライブ録音で、ユーロアーツの公式チャンネルです。

 彼らしい端正な音作りに好感が持てる名演になります。

 嵐の晩などにかけてみてはいかがでしょうか。