腕の説明書 8 | 窪田テニス教室

窪田テニス教室

皆さんの技術向上のキッカケぐらいになればと思います。
内容は指導者向けかもしれません。
はじめての方はテーマ欄の「注意事項」をすべて読んでください。


以下、質問コメントです。


2. サーブの質問②
 家の中で家族から冷たい視線を浴びながらサーブの素振りをしていました。何回やってもラケットの重みを感じてしまい、伸張反射もうまく使えないのでイライラして、サーブの構えから真横に想いっきり振ったところ、あらっ!?腕が軽くなり、しかも伸張反射の感触が!風を切る音もちがう!これはと思い、近所の目を無視して外で試しました。横に振るといい感じですが、縦に振ると全く駄目です。
サーブの構えから、フォアのスライスを打つような感じでトップを走らせ、インパクトの後プロネーションするような感じで振りました。

質問です
①肩のラインと腕は同じライン?になる方が良いのでしょうか?②これが正しいのであれば体を湾曲せずに右肩を上げる方法を教えて頂けないでしょうか?③上記の腕の振り方はサーブの動きとして間違っていないでしょうか?

サーブ・スマッシュは挫けそうでしたが、これはかなり近いところに来た感じがしています。コートで打てていないので失礼ではありますが、ご回答をお願いいたしますmm
小梅 2014-03-03 23:54:29


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[肩のラインと腕は同じライン?になる方が良いのでしょうか?]

、、、、、肩のラインと腕のラインは違います。「構え、打球時、打球後」の3つのタイミングで、肩と上腕(肩から肘まで)のラインが同じになることはないです。

ただ、「構え~打球」までの間に、そのラインが揃うことはあります。一瞬だけ、通過点としてです。このとき右肘は曲っています。


良い機会なので、この辺の説明をします。(ここは少しややこしいです。私がややこしいのではないですよ。ややこしいのは動きのほうです。)


腕とは、肩を含む。肩は、胸から動く。

腕の動きは、胸から考える。



(背中側には肩甲骨がありますが、肩甲骨は自分で動きを確認するのが難しいので、ここでは説明しません。興味がある人は「胸骨」「鎖骨」「肩甲骨」をネットで調べてね。)


胸骨の一番上(首の根元=喉の下)から、肩まで伸びている骨を「鎖骨」と言います。

胸骨に左手を当ててください。

次に、できるだけ胸骨の位置を変えずに、右肩を前後左右に動かしてください。

右肩が身体の中心(胸側)から動くのがわかると思います。


右肩、身体の中心、左肩を結ぶラインは、一直線とは限らないということです。


ここから、サーブの説明にいきます。

トスを上げるとき、左手は、ボールを離した後、さらに上に向かいます。このとき身体を沈めながら、右胸を開きます。

ここでの「右胸を開く」とは、胸を支点として右肩が、背中側に向かうことです。

(左肩が開くのではありません。左肩は、左足、左腰に体重がかかり、しかも左腕が真上に向かっているので動かすことはできない。)

右胸を開くことができるほうが、サーブは速くなるでしょう。これを反射で結ぶことができるとより良いです。(ここで間を取り過ぎると逆効果になることがある)

「肩は胸から動く」ということを知らない人は、「右肘を、身体の後ろに引いているからダメだ」と勘違いします。

胸から右肘までのラインが一直線なら、右肘は身体の後ろにいっても良い。

右胸が開いても開かなくても、胸から右肩の延長線上よりも、身体の前側に右肘があるのも良い。(延長線上に右肘があるのも良い)


(サーブの場合)肩が柔らかいとは、右胸が開いて、右肩が大きく後方(=背中側)に動くことです。


ここでフォアの動きも説明します。

フォアハンドストロークでも、胸からだったら右肘を身体の後ろに引いていいのか?

ダメです。

大事なポイントがあります。

サーブの場合、この右胸の開きは楽にできます。なぜなら、身体が傾いているからです。

左半身が上、右半身が下になっています。

ということは、右腕の力を抜けば、右胸は自然に開く(右腕を「落とす、垂らす、解く」)ということです。

右胸を開かないほうが、力が必要になるでしょう。年配の方は、可動域が狭くなっているので、力を抜いてもあまり開かない。無理しないでくださいね。

この右胸の開きをフォアでやろうとすると、右の背中側の筋力が必要になります。

振り出す前に筋力を使うと、振リ出すときにその筋力は使えない。

動きは制限される。できない動きがあるということです。

しかも、これをやると移動できない。この状態で「走れ!」と言われても無理です。

「胸を開く動き=上に向かう動き」と「移動=身体を倒して動き出す=下に向かう動き」は合いません。

サーブは移動がなく、身体の右側を落とすことができるから使えるのです。


サーブの説明に戻ります。

次は振り出しです。

右腕の説明。(他の部位は過去記事をブログ内検索してください)

右肘を曲げたまま、右肩が外旋することで、右肘はボールのほうに向かいます。

このとき右肘は身体の前側にきています。「身体が真っ直ぐ=胸を上に向けない」状態だとすると、右肘は身体に対して前方の斜め上です。このポジションが大事です

「肩のラインと腕のラインが一直線」にはなりません。

ただ、

右肘が上がった状態~打球までを、(身体の)真後ろから見ると、両肩と右腕が一直線になったように見えます。

これを勘違いする指導者は多いですね。


「動きを3次元で見る」のは基本中の基本。動きを2次元で見るのはダメです。

身体の仕組みを知っていると、見えるもの以上のことがわかってきます。



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まずは、右肘が身体の真横ではないのをチェックしてください。肘が胸に対して真横だと肩は外旋できません。できても苦しいだけです。肘を身体の前側に移動させながら肩を外旋すると楽です。

「肩が外旋=腕は身体の前」「肩が内旋=腕は身体の横~後ろまで」「撫で肩にして内旋=腕は身体の前」(撫で肩とは、肩のゼロポジションのこと)というのも参考に。自分で動かしてみてください。

質問コメントに「フォアのスライス」とあります。

高めのボールを、(身体がコートに対して右向きのまま)振り落とすスイングで打つスライスの場合、上腕のポジションはサーブと似ています。(特にスピンサーブ)