フィクションの時代 | 皆様ご機嫌いかがでしょうか 

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【久保田光彦オフィシャルブログ】 

私はいつからこんなにドラマを見るようになってしまったんだろう。気がつけば一端のドラマ愛好者である。若いころは違いました。ドラマのウソ臭さが、どうも鼻もちならず、つまらない・くだらないを連発していた。まあ見ても週に一本が関の山というところだったでしょうか。会社勤めを止めてフリーランスになったころから、まず映画をよく見るようになり、それに呼応してテレビドラマの視聴が増えていったような気がする。

この10月クールは、とくにドラマ視聴傾向に拍車がかかっている。今クールはとりわけ面白い作品が目白押しです。TBS系では「スペック」・「獣医ドリトル」、フジで「ギルティー」、日テレで「黄金の豚」、テレ朝では「相棒season9」、それに引き続きNHKの「龍馬伝」。さらに、番外編で、WOWOWの「マークスの山」を加えると、ほぼ全局網羅しています。加えて、NHK「セカンドバージン」やテレ朝「秘密」もみようかなぁ~なんて考えている次第で、あっそうそう、フジの「SP」までビデオを借りて見始める始末ですヨ。

中でも注目はTBSの「スペック」だ。初回の演出は堤幸彦、とくればご存じ「ケイゾク」である。戸田恵梨香と中谷美紀は完全にかぶるし、ご丁寧に竜雷太が脇を固めている。”トリック”のテーストも中々に散りばめながら、超能力サスペンスコメディーというわが道を往く感満載のドラマです。そして安定感十分の「相棒」は、水谷豊(杉下右京)のキャラが完全に定着し、また以外とミッチーがいいんですネ。テレ朝のこの枠は、”臨場”もそうだが骨格がしっかりしている。だから大人が楽しめる。

「黄金の豚」は篠原涼子がいいが、正義を大上段に振りかぶり過ぎて、そもそも詐欺師でしょ…という矛盾がぬぐえない。テーストはなんとなく”ごくせん”に通じているが…。「ギルティ」は、法で裁けぬ悪に復讐するというテーマで、こちらもなんとなく”ジョーカー”のコンセプトを踏襲している感があります。どちらも、今後は脚本次第といったことろでしょう。

”獣医ドリトル”は、小栗旬・井上真央のコンビ。制作・演出が、瀬戸口克陽・石井康晴とくれば、ご存じ”花より男子”の強力布陣で、加えて動物モノである。レーティングねらってきているナァ。小栗旬ファンの私としては、”東京DOGS”よりはるかにいいですネ。獣医界のドロドロとして政争絡みで、今後どう展開していうのか楽しみである。

もう一つ、WOWOWの”マークスの山”。私は、高村薫の原作を読んだが、内容を忘れてしまった。だから新鮮な気分で鑑賞できる。2回目まで見たが、面白いですネェ。出演者も実力者揃いで豪華だし、筋がしっかりしているので、私好みのリアリティーのある刑事サスペンスドラマに仕上がっているようです。

しかし、これだけドラマを観ているということは、相当暇こいてんだナァと思われても仕方がない。我ながら吃驚する。でも逆に、以前よく観ていた他のジャンルの番組の視聴時間がかなり減ってきているわけで、自分の中では明らかに、作りもの・フィクションの世界に浸りたいという気分が横溢しているのが判る。もう、素・本音・有りのまま・自然体・等身大とかいう、本当を曝け出すバラエティーに飽き飽きしているんです。緻密に構築されたエンターテイメントが、観たくて観たくてしょうがないんです。これもある意味、私のテレビ離れなんです。