カニ族 | じつはぼくのくぼはつじ

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老いを認める日々のブログ

今では死語となったのだろうか、そのむかし「カニ族」という言葉があった。カニは蟹である。横広のリュックを背負い、登山もしくは旅に出かける者の総称で、列車に乗り込む際、車内を歩き回る際、巾80センチはあろうかという横広リュックのせいで、蟹の如く横歩きを強いられし者に付けられた名称である。リュックを甲羅に見立てたあたり、誰が付けたかなかなか見事な命名である。

この「カニ族」、世間一般の評価は「邪魔くせーな〜、でけぇ荷物担いで乗るんじゃね〜よ〜」と国電利用者には評判甚だ悪かった。

恥ずかしながら不肖久保、その「カニ族」だった過去がある。決して「カニ族」に憧れてなったわけではなく、海外旅行に行く、貧乏旅行に行く、無銭旅行に行くと思考した途端、いつのまにかそんな身支度になっていた。つまり「カニ族」のスタイルは、当時そういった旅行を目指す若者の、ある種ステイタスシンボルだったのかも知んない……笑。

この「カニ族」スタイルで、♪横浜から船に乗ってナホトカに着いた〜♪わけなんだけど、ソビエト連邦を横断してヨーロッパの端っこヘルシンキに着いた途端、馬鹿でかいリュックを担いで来たことを後悔した。