心弱くなればトラブル自ずから招いて身体も弱くなる | 愚奏譜

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ワタシ、かなでの備忘録みたいなもの。
割と内向き・オタクなハナシが多くなりそうです。

本のハナシ

『別子太平記 愛媛新居浜別子銅山物語(上)(下)』井川香四郎(徳間文庫)


『吉野太平記』以来の「太平記」か?

筆者さんの出身地なのかしら?それもあっての作品らしい。

大企業の成り立ち、なんてハナシですと、来年の大河の渋沢栄一とか、三菱の岩崎弥太郎とか、三井の三井高利とか、東芝のからくり儀右衛門とか、なんか有名ですが、住友では広瀬宰平になります。
とはいえ、タイトルにあるのは別子銅山。
なので、広瀬は下巻の実質主役だけど、物語はあくまで別子銅山主体で動きます。
スタートは豊臣秀吉による四国侵攻から。そこで若者三人が御家再興?いや郷里再興のために各々それぞれ野に下る。
綱吉治世下で萩原重秀の経済政策に沿う形で、大坂住友の分家泉屋が別子銅山の操業開始。それに三人の子孫が集って活躍する。
そして幕末になり広瀬登場。三人の子孫も影が薄いけど活躍。
あとは史書の伝える通りの展開。

井川作品は昔読んだことある気がするけど、エンタメの人だった気がする。
だから、タイトルも中身も結構「歴史小説」なんだけど、「三人」を使って何とかエンタメにしようとしてます。けど、元ネタ大ネタが強いから、不自由だったろうにと感じちゃう。
いっそのこと、広瀬宰平を卑小化させちゃって「三人」を痛快に活躍させちゃった方が良かったのでは?なんて思うけど、それはそれで史実の面白さをそこなっちゃうか。
なので、読感はそれなりでした。
やっぱり「三人」にもっと動いて欲しかったなぁ。


かつて「幸せ!ボンビーガール」で上京した娘さんが、スマホのナビにSMBCとか表示されてるのを、ノータイムで「住友銀行」と読んでいて、「地方出身者の若者が、自分が物心つく前に合併した都市銀行の名前をなんで知っているんだ?」と不審に思ったら、その子は新居浜出身だった。さもありなん。
実は、このエピソードがあったから本書を手に取ったところもある。

あと住友林業の始まりは、少し「羨ましい」とも感じてしまった。ワタシの郷里は、禿山回復の過程で桜の名所になりました。


そういえば、むかしテレビで住友のドラマを見た気がする。広瀬宰平を軸にしたカンジのやつ。
正直面白くなかった。
住友は天下劇絡みのド派手エピソードの印象がないからなぁ