二沼続けて夜景訪ねて長袖を着納める | 愚奏譜

愚奏譜

ワタシ、かなでの備忘録みたいなもの。
割と内向き・オタクなハナシが多くなりそうです。

漫画のハナシ
ちょっと古いです
『天竺熱風録(6)』原作 田中芳樹   漫画 伊藤勢(白泉社)

ヴァルダナ朝の内乱終結なのでハッピーエンド。被差別民の怨念的なモノは置いときまして。
やはりラージャシュリー王妹殿下(戒日王ハルシャ・ヴァルダナの妹)は重い。
「妾はもうこれ以上血が流れるのは見たくありません」で、報復による血の連鎖を止め、皆を感服と感動に浸らせる。でも
「もっとも妾は目が不自由なのでどのみち見えませんけど」
で、全員がズッこける。
この硬軟織り混ぜてるカンジが本作の持ち味。
そして後日談のボリュームが凄い。
色々なキャラが後に与えた影響とか、どこまで堅めの史実が分からないけど、当時の長安を考えれば信じられる。
主役 王玄策の名は日本にも残ってるみたいで、奈良薬師寺の仏足跡の転写に銘文されてるそうな。
他にも、帰路で亡くなった僧の弔いに置いていった経文で、現地仏教が栄えた(三蔵法師義浄によると)らしく、そこからボロブドゥールに繋がる?とか。
唐に渡った廃王子が、三蔵法師玄奘に弟子入りして、そこで道昭(行基の師)と交流したり、とか。
などなど色々。
次の中華の主役になる武則天も、ラスボスのオーラで顔見せしてます。
とはいえ、肝心の王玄策自身の記録が、自著も含めて散逸しているため、本人のその後は「完全否定はできない想像」に任せるしかない。
それにしても、壮大かつ疾走感のある史実に基づくハナシであり、禍々しくオカルトじみた描写も多発していたのに、なんだか不思議と爽やかさがある読感なのは、多分漫画家さんの力量だと思う。
表紙の王玄策は煙管みたいなのを咥えているけど、そもそも煙草ってあったか?なんてツッコミは野暮か。



『ふしぎの国のバード(6)』佐々大河(エンターブレイン)

所謂「変人」であるバードさんを理解する日本人が現れる。
だから彼は火事があれば、バードさんをけしかけたりして伊藤を困らせる。
そして、紙漉体験や葬式フルコース体験したりして、バードさんはある事実を告げる。

次はない。
この旅が終わったら結婚する。

あら?バードさんの旅はこれでオシマイになるの?岩波だか中公で続きがあった気がするけど。

とにかく、意外とやらない「この時代」の日本の風景。
いちいちモエる。