『小説フランス革命Ⅷ共和政の樹立』佐藤賢一(集英社)を漸く読了する | 愚奏譜

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ワタシ、かなでの備忘録みたいなもの。
割と内向き・オタクなハナシが多くなりそうです。

久しぶりに書名がタイトル。
購入したのは発売直後だと思うから秋頃のハズ。
読むのが遅れたのは、体力の問題が第一。それと内容。

ミラボーが生きている頃は良かった。「勝てそうな」気がするから。そうじゃない、と分かっていても。ワタシも作中のロベスピエールやデムーラン同様に、彼の影響から逃れられませんでした。
けど「フランス革命」という単語自体が既に死亡フラグ。ワタシが学校で学んだ程度の知識だと、「そしてナポレオンとタレイランだけ残った」のイメージ。あとは全員ギロチン。
血生臭いハナシは嫌。なのでフランス革命はワタシの好物足り得なかったのです。

いよいよ、パリもオカシナことに。
佐藤池上対談でも言ってたように、「成功体験」がパリの民衆を加速させる。
「答え」をある程度知っているとはいえ、正直、作中キャラが熱病患者化していくのが不快。「やっぱりそうなるのね」的展開。
個々のキャラの内面・懊悩は、ある程度は佐藤さんの作品らしく描写されているけど、いくら悩んだところで、人民の熱量はどうしようもない。なんせ「成功体験」があるから。

ルイ16世もギロチンになりました。
この作品では、ヴァレンヌの時といい、彼の器量がデカめに設定されているので、登場場面がいつも読み易くて好きだったのですが、仕方ありません。
ギロチンを前にしても、聴罪神父にギロチンにおける「平等思想」や、自らのアドバイスによる「機械工学上の改良」を述べたりして瞠目させ(しかも本人は何を驚かせているか気付かず)、サムソン(最近知名度の上がった、パリの山田浅衛門)を気遣って落ち着くように言ったり、刃の落ちる瞬間まで思考を描写されて、最後まで破格の扱い。
けど超有名な奥さんの描写は僅か。この辺は「小説」ゆえか。いや正しい。彼女は言うほど政治的な存在に非ず。


サン・ジュストは文章からも妖気を感じる。イヤダイヤダ。だからフランス革命はイヤダ。
けど折角「佐藤賢一」を「最初」から読んでいるのだから、せいぜい味あわせて貰います。

「フランス」を「全部」書くつもり?の勢いの佐藤さん。
この前、新刊『黒王妃』を購入。メディチ、いや作風に倣ってフランス読みするならメディシスから王家に嫁いだカトリーヌが主役だそうな…………コレって虐殺があるんじゃないの?


あとフランスのネタだと、シャルル・マーニュとか?
ウェルチン・ゲトリクスをやったぐらいだから、この辺の時代は余裕でしょう。
それを言ったら「合羽のユーグ」なんかも有りか。
正直、ネタを列挙出来るほど「フランス」を知ってる訳じゃないことにやっと気付きました。