胃ガンのリスクを高めるといわれるピロリ菌。
ピロリ菌の除菌は、胃ガン予防の第一選択肢と考えられています。胃に痛みを感じて、ピロリ菌が見つかれば、医師に除菌をすすめられるでしょう。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍、慢性胃炎のある人でピロリ菌の保持者は胃ガンに移行する可能性が高いとして、除菌療法が保険適用されるなど一般的な治療法となっています。
ピロリ菌の除菌には、作用の高い抗生物質と、その薬から胃を守るための胃腸薬を4週間飲み続けることになります。その1クールを終えて除菌に成功していなければ、薬を追加して飲みます。それでもダメならば、さらに服用期間が長くなります。
こうしたピロリ菌除菌療法での胃ガン予防効果に私は疑問を持っています。
日本では毎年、男性3万人、女性1万8000人が胃ガンで亡くなっています(3大治療の副作用で亡くなった人も含む)。この数は毎年ほぼ変わっていません。
もし、ピロリ菌の除菌が効いているのならば、死亡者数は減少に転じている筈でしょう。
ピロリ菌は日本人の大半の胃にもともとすみついている常在菌です。
胃ガンは日本人に多いガンの一つ。胃ガンの人を調べればピロリ菌がいるのは、ある意味当然のことです。
ピロリ菌がいなくても胃ガンになる人がいるのも事実です。
ピロリ菌の除菌で食道ガンのリスクが
では、ピロリ菌の除菌に弊害はないのでしょうか?
この療法が身体に与える副作用は、ピロリ菌の除菌をすすめる医療者が考えている以上に大きい筈です。
胃の先には腸があります。
腸には1000兆個もの腸内細菌がすんでいるといわれています。腸内細菌は私たち人間の共生菌であり、腸の中にいて、消化吸収のサポート、免疫力の増強、外から侵入してきた病原体の駆除、ビタミン類の合成などに働いてくれています。
抗生物質は、そうした大切な腸内細菌を殺し、活力を低下させてしまいます。
抗生物質とは、細菌を殺す作用を持つ薬です。
薬のカを使い、身体の中にいる菌を排除しようとすれば、よいものまで殺してしまうことになります。
薬には意思がなく、身体に良い菌も、悪い菌も判別ができないからです。
(続く)