恐るべき政府による安全デマ(1) | ふしぎのメダイ

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 福島県は4月5日~7日にかけて、全県の小中学校などを対象にモニタリングを実施しました。その結果、調査対象の小中学校などの75.9%が、法令で定めるところの「放射線管理区域」基準を超えていることが分かりました。

 この放射線管理区域というのは、放射線を扱う仕事をしている人たち(放射線業務従事者)しか入ってはいけないところです。その基準は3ケ月で1.3ミリシーベルト、ですから年換算で5.2ミリシーベルトになります。この放射線管理区域では18歳未満は作業禁止、中にいた時間と浴びた線量を記録しないればならない、モノを食べてはいけない、飲んではいけない、寝てもいけない、そういう場所です。

 ところが文部科学省は4月19日、学校等の校舎・校庭の利用判断に於ける放射線最の目安として、年間20ミリシーベルトという基準を、福島県教育委員会や関係機関に通知したのです。この年間20ミリシーベルトというのは、大人の放射線業務従事者が年間に浴びて良いとされている限界値です。

 ちなみに、チェルノブイリでは年間5ミリシーベルトを超えると強制移住の対象となりました。ドイツでは放射線業務従事者が一生のうちに浴びて良い限界が20ミリシーベルトです。

 早速、ドイツのシュピーゲル誌は、4月21日に「明らかにガン発症の確率が高まる。基準設定により政府は法的には責任を逃れるが、道徳的には全くそうではない」

 というオットハーグ放射線研究所の専門家のコメントを掲載した。

 米国の基準で言えば、子供は大人より10倍感受性が高いとすれば、福島県の子供たちは米国の大人の1330倍もガンになるリスクを背負わされたことになります。米国科学アカデミーは「年20ミリシーベルトでもガン死は発生すると考えるべきだ」との見解を示しています。

 実際、浜岡原発で約9年働き、29歳1ケ月のときに白血病で亡くなった某氏は、労災認定されています。
 その間の放射線量は50.63ミリシーベルト、年間では最多の年で9.8ミリシーベルトでした。

 4月29日には放射線防護の第一人者、某東京大学大学院教授が、突然、内閣官房参与を辞任しました。その会見では
 
 「年間20ミリシーベルト近い被曝をする人は、約8万4000人の原子力発電所の放射線業務従事者でも、極めて少ないのです。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは、学問上からの見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受に入れがたいものです」

 と涙ぐみ、言葉に詰まりながら政府が意見を聞き入れてくれない実状を訴えました。

 原発推進派で、脱原発派からは御用学者とみられてきた0氏の態度は、いかに異常事態が生じているかを物語っています。

 5月2日には1985年にノーベル平和賞を受賞した「核戦争防止国際医師会議」の米国内組織「社会的責任のための医師の会(PSR)」が

 「年間20ミリシーベルトは、子供の発ガンリスクを200人に1人に増加させ、このレベルでの被曝が2年間続く場合、子供へのリスクは100人に1人となる」

 として

 「子供への放射線許容量を年間20ミリシーベルトに引き上げたのは不当なことだ」と批判しました。

 日本の市民団体が5月2日に政府に提出した基準見直しを求める署名には、61ケ国から5万人以上が賛同。5月4日にはドイツの日本大使館でもデモが行なわれています。

 こうした世界中から非難の声があがっているにも関わらず、文科省は一向に年間20ミリシーベルトを撤回しようとしませんでした。


    (続く)