夕暮れの家々(ヘルマン・ヘッセ) 遅い斜めの金色の光の中に 家々の群れが静かに赤々と照らされている いみじくも深い色の中に そのまどいのタベが祈りのように咲いている 家々は互いにしっくり寄り添い合い 姉妹のように丘の斜面に根ばえている だれも習いはしないがだれでも歌える 歌のように、簡素に古めかしく 壁、漆喰、かしいだ屋根 貧しさと誇らしさ、衰えと幸いが 愛情こめてやさしく深く 昼に向かってその熱を照らし返す