本隊が神戸に向けて出発した翌日、両キャンプから事前に募られていた残留組は陸前高田の被災状況や、建築家の伊東豊雄さん等が東日本大震災の被災者のための集会所として建てた「みんなの家」を見学させていただきました。
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なかなかなくならない瓦礫の山には、自然が覆い被さり、それが瓦礫の山だと説明されなければ、気付かないような小高い丘に見えました。

私が写真を撮っていたとき、偶然話しかけてくださった写真が趣味のおじいさんが、3月11日またそれ以降に撮った写真を見せてくださいました。
流される家々の中には人が映っており、人の映っていないメディアが使う写真からは伝わらない、生々しい当時の状況を物語っていました。

そのおじいさんは写真が詰まったアルバムを「自分の図鑑だ」とおっしゃていました。その図鑑の中の写真は、知り合いには見せられないと言います。「同じ部落の人間が映っているから。見せようとしたら、断られてしまった」と。

最後に見せていただいた、夕日をバックにした一本松の写真が特に印象的でした。何枚も何枚もいろいろな時間帯、アングルで撮っていた中でもお気に入りだったそうです。


その後、宮城県南三陸町の荒砥仮設に移動し、足湯•まけないぞうカフェ活動を行いました。

今年の夏、草刈りの依頼で訪れた仮設なのですが、足湯やまけないぞうを提供するのは今回が初めてということもあり、たくさんの方がカフェに来てくださいました。

私が教えたおばあさんは、どうしてもぞうが作りたくて、夏以降、見よう見まねで作っておられたらしく、正しい作り方を習えたことが本当に嬉しいと言ってくださいました。リボンの付け方や目の位置など、みなさんとても工夫されていて、個性豊かなまけないぞうがたくさんできました。
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「また来てね」という声が嬉しくて仕方がありませんでした。
神戸大学東北ボランティアバスは、普段岩手県を中心に活動しているため、次、宮城県に行けるのはいつになるかわかりません。でも、私たち大学生にできることがあるのであれば何度でもその場所へ通いたい、そう強く思います。


第11次派遣で訪れた被災地で私たちは、徐々に震災を物語る建物が取り壊されていっている一方で、減っているように見えない瓦礫の山々を見たり、先の見えない生活への不安、復興計画への行政への不満などのお話を聞いたり、子どもたちのおもいっきり遊べる場所の必要性を改めて感じたり、その他にもたくさんのことについて各々が考えましたし、神戸に帰ってきてからも考え続けています。

神戸に帰ってきて東北の話をしたとき周囲がなかなか復興の進んでいない被災地の現状に対して「えっ!?」と驚くことに、私は2年を目前にした東日本大震災の風化を感じています。

まだまだ復興は進んでいない、と
実際にその土地を訪れた人間として事実を伝えていきたいと思います。


発達科学部2回 木嶋 恭子