関心領域 | Every Little Step (新)

Every Little Step (新)

りおうさんの更なる進化を求めて。

関心領域( 原題:The Zone of Interest )

2023年 アメリカ・イギリス・ポーランド合作 日本公開2024年5月

監督 ジョナサン・グレイザー

クリスティアン・フリーデル/ザンドラ・ヒュラー

(C)Two Wolves Films Limited, Extreme Emotions BIS Limited, Soft Money LLC and Channel Four Television Corporation 2023. All Rights Reserved.

 

 

 

 

 雑感

 

すごい映画でした。

おもしろいとかおもしろくないとか単純な作品ではないなと思いました。

 

冒頭3分間くらい?真っ黒な画面から始まります。

そこから平和そうな家族の光景が。

そして不穏な音。

全く何の説明もなくただ、たんたんと家族の光景のみが映し出される作品。

そしてだんだんとわかってくる。

その家族がどこに住んでいるかが。

 

この映画を見たいなって思った人は

それなりに調べているだろうし

知っているからこそ見たいと思ったんだろうと思います。

わしもそう。

まさに興味。

 

数年前は映像のすばらしさがクローズアップされていることが多かったけど

最近の映画は 音 を重視しているものも多くなってきたかなって

思います。

オッペンハイマーもそうだった。

 

撮影のカメラはいたるところに設置されていて

とある家族の普通のありのままの姿を映しています。

一見普通の家族です。

なのでカメラが寄ることはほとんどありません。

その家族に特に何かが起こるわけではなく、その外で何かが起こっているのです。

それを音や日常の彼らの会話でわかるわけですが

もちろん住んでるやつも異常なんだけど

そもそもそんな塀を隔てた隣に普通に家が建ってることも驚きで

まわりに特に何もないようなところに収容所ってあるんだと思ってました。

すべてが新感覚のそして斬新な角度からの切込みの作品でした。

 

 

 キャスト

実在したルドルフ・ヘスを演じるのはクリスティアン・フリーデル。
彼は同じ第2次世界大戦の映画『ヒトラー暗殺、13分の誤算』
でヒトラーを暗殺しようとする主人公の役をしていました。
ヒトラーの部下と、ヒトラーを暗殺しようとする青年、まったく正反対の役を
やっているのは興味深いなと思いました。
 
セスの妻役のザンドラ・ヒュラー。
彼女がこれまたすごい。
アカデミー賞の主演女優賞にノミネートされた『落下の解剖学』でも
快演していましたし
彼女は、こう、知らないうちに人を不愉快にさせるというか
空気を読めないというか そういうタイプの人を演じるのがめちゃめちゃうまい
と思います。
彼女がいたからこそこの映画が際立ってんじゃないかなと思います。
ハリウッドから相当オファーがきそう。
 
 

 

 雑感その2

 

アカデミー賞で国際長編映画賞(以前の外国語映画賞)を受賞したからという
軽い感じで見に行く作品ではないと思います。(音響賞も受賞)
場合によってはおそろしくつまらない映画です。
想像力がないと見れないと思います。
様々なポイントがあって
綺麗な毛皮のコートや
銀歯をいじる彼らの息子
リンゴを配る少女
耐えられず出ていくヘスの妻の母親
もっともっとあります数えたらキリがないほど。
わしも想像力は豊かな方ではないのでラストのヘスのシーンの意味はわからなかった。
調べたら ああ!そういうことか! ってなりました。
母親の行動も、単純に『そう』だったからではないという解説を見て
この映画の持つ深さを感じました。
 
ラストで現代のシーンがありますが
それを見たときに
あんたたちもそうなんだよ、って突き付けられているように感じて
エンドロール中ずっと鬱っぽくなってました。
 
この映画に足りなかったことといえば『匂い』だけだろうなって思いました。
 
見ることをおすすめはしませんが
ただ、見るのならば絶対に映画館で。