グリーンブック | Every Little Step (新)

Every Little Step (新)

りおうさんの更なる進化を求めて。

グリーンブック(原題:GREEN BOOK)
2018年アメリカ 日本公開2019年3月
監督ピーター・ファレリー
ヴィゴ・モーテンセン/マハーシャラ・アリ/リンダ・カーデリーニ
画像
(C)2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. All Rights Reserved.


 【雑感その1】
これは良作。
久しぶりに〝いい映画を見たなぁ〟と思えた。
なんの期待もなしに、ゆるーい気持ちで見れる。
感動のおしつけも全くないし、お涙頂戴でもない。
鑑賞後 いい映画だった と思わせる心地よさがある。
終わり方が個人的に秀逸。 というかわし好みの終わり方だった。
奥さんのその一言で ふっとこちらを笑わせて終わるっていう。
なので結局笑顔で終わるっていうのがね、最高。
朗らかな笑いと、差別の現実とのバランスが絶妙。
いわゆるロードムービーともいえるんですが
わしはロードムービーが好きなのでこの点でも◎でした。

これは納得の作品賞。
一部では、史上最低の作品賞だとか言う人もいるようだけど
所詮日本人、黒人と白人の問題に関して
やはりそこまで言えるほど実際は理解できていないと思う。
なのでこういう映画を通して『知る』というのは大事だと感じています。
実在した人物の事実に基づいたストーリーとなっています。
その辺でなんだかんだゴタゴタがあったようです。
事実と違うとか、家族の名誉がどうのとか。
結局白人の方を、黒人を受けいれた善いヤツだという描き方をしてるとかなんとか。
色々あるけど、この映画は何も考えず
ただ感じるままに見てほしいと思う。
非常にライトな仕上がりになっています。

単純にお互いがお互いから友情を通して、学びあう。触れ合う。寄り添う。
そういう作品なのだと思う。
ここ数年では作品賞としては一番よかった!
素晴らしい映画!というのではなく良くできたいい映画だと思います。



【あらすじ】
1960年代。クラブで用心棒をしているトニー・リップはふとしたことから
黒人でありながら有名なピアニストであるドン・シャーリーの
アメリカ南部ツアーの運転手の仕事を引き受ける。
そしてトニーは南部は差別意識が高く、有名なピアニストでありながら
黒人というだけで各地で様々な差別を受けるシャーリーを
目の当たりにする。
その一方でその見事なピアノの音色に魅了されてゆく。


【キャスト】
トニー・リップ役にヴィゴ・モーテンセン。
これは素晴らしい。
これでオスカー獲れないのは正直ちょっとキツイ。
(ごりごりのラミ派だったわしが言うのもなんですが…)
アカデミー前にこの映画を観てたらきっと
主演男優賞はハラハラして気が気でなかったと思う。
役作りのために体重を増やしてますが太ると萩原流行さんに似てるなと思った。
髪型のせいかな。
というかその髪型も気になって!
髪ばっかみてたわ。
良くも悪くも素直なトニーを見事に表現してて、アラゴルンもよかったけど
トニー・リップも本当に素晴らしかった!

ドクター・シャーリー役にマハーシャラ・アリ。
初めてマハーシャラ・アリの演技を見ました。
2年前ムーンライトという作品でわずか24分間の出演にもかかわらず
オスカーを獲得したその人を。
正直、なんとなく好きではなかった(顔が長い)。
でもこの作品の演技を見て一転、この人凄い!と思わされました。
ふとした表情の変化やその所作が見事。
ピアノの演奏は、振る舞いだけで実際に弾いているわけではないそうです。
(監督が演奏者と顔を置き換える作業をしたと言っています)
それでその長い手と指がとても魅力的ですべての手や指の動作が
綺麗でした。
おそらくドクター・シャーリーの教養の高さを表現いていたのかなと思う。
まじで凄い人だ。
全編にわたって笑顔が最高に良かった。

トニーの妻ドロレス役にリンダ・カーデリーニ。
作品を邪魔しない絶妙な立ち居地で、それでいて大事なキャラクター。
とても愛くるしくて嫌味のないいいキャラでした。


【雑感その2】
この映画を見たら、ケンタッキーフライドチキンが食べたくなる!
このフライドチキンを食べるシーンがとっても素敵で、
好きなシーンは?と聞かれたら大勢の人がこの場面を挙げるんじゃないかな!
ドクター・シャーリーのフライドチキンを持つ指使いが最高。
もちろんカップを捨てるのは良くないけど、骨もよくないんじゃない?なんて。

ピアニストのツアーの旅なので
音楽は欠かせません。
演奏している楽曲も素敵だし 映画内で使われている音楽もとてもよい。
ツアーといえば、ドクター・シャーリーはトリオでツアーを回っているんだけれど
仲間の2人はイマイチ好意的なのか、それとも諦めなのか
ドクター・シャーリーが堂々と差別を受けてても気にしてない様子が
え、どうなの?ってずっと疑問でした。今もだけど。
そんな感じだからトニーと違って友情が芽生えないのかな?
トニーとの対比なのかもしれない。

個人的にはなんか、色もよかったような気がします。
画面がすっきりしてて綺麗だし色が映えた。
あと2人の乗っている車のグリーンと、翡翠の石の色が同じなんだよなーとか。
トニーの服の色もマッチしてた。
関係ないけど、服とかちゃんと着まわしてるのが良かった。
同じ服をドクター・シャーリー2回着てた!


誰でも気軽に見れて、楽しくて、心温まる良作なので
是非とも見てほしいと思います。
わしのように
ラストのセリフでふっと笑って、笑顔でエンディングを迎えてほしいです!

2019-⑤