マンチェスター・バイ・ザ・シー | Every Little Step (新)

Every Little Step (新)

りおうさんの更なる進化を求めて。

マンチェスター・バイ・ザ・シー(原題: MANCHESTER BY THE SEA)
2016年アメリカ 日本公開2017年5月
監督ケネス・ローナガン
ケイシー・アフレック/ミシェル・ウィリアムズ/カイル・チャンドラー/ルーカス・ヘッジス

画像
(C)2016 K Films Manchester LLC. All Rights Reserved.

【雑感その1】
よかった…!
大人の映画かもしれない。
雰囲気は決して明るいとはいえないけれど、見終わったときに
うん、うん、いいんだよ。
って応援したくなるというか非常に納得できる感情がわいてくる。
そして哀しさもこみ上げてくる。それは前向きな哀しさ。

このマンチェスター・バイ・ザ・シーというタイトルは
まんま実在する地名でして
映画内でこの場所のいつもどんよりとした天候と常に寒そうな気候が
ストーリーに一層の深みをもたせているように思います。

現代と過去とが交錯しあいながら物語が展開していくので
だんだんと主人公や彼を取り囲む人物の過去がわかってきます。
テンポはゆっくりと、たんたんとすすんでゆき
大きな何かがあるわけではないけれど
飽きることもなく、いつしか夢中になって見ていました。
シンプルではあるけれど、何か重厚さを感じる。
とても良作だと思いました。
あとこの映画を表現するのが難しい。新感覚といえば軽いけど
不思議な作品でした。


【あらすじ】
ボストンで便利屋として働いているリーは心臓疾患を抱えている兄が
亡くなったという知らせを聞いて故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーへと
帰る。
そこで兄の遺言により甥のパトリックの後見人となるのだが
リーには向き合わねばならない壮絶な過去があった。


【キャスト】
主人公リー・チャンドラー役にケイシー・アフレック。
前から言ってますがわしはケイシー派。
最近は兄貴も好きだけど。
早い話アフレック兄弟は好きです。
この映画のどんよりした空気とケイシー・アフレックの持つ不安定さが
マッチしていて見事だったと思う。
彼は表情だったり目の動きだったりどことなく不安定な感じを出すのが
とても上手だと思うのです。
ちなみにこちらの役はもともと監督・主演をマット・デイモンが努める予定だったそう
ですが多忙のため降板。
マット・デイモン自身がケイシーを抜擢したという。
親友だったというのもあるんだろうけど見る目あるなぁと思う。
ケイシー・アフレックはこの役でオスカーを獲得しています。

リーの元妻・ランディ役にミシェル・ウィリアムズ。
大好き!かわいいし!!
久々に見た!
出番は非常に少ないけれど強烈な印象を残すのはさすが。
後半の方で涙ながらにリーに謝るシーンは、彼女の持つ情熱に押されて
みているこちらまでこみ上げてくるものがありますた。
でも、このランディというキャラはあまり好きではない。
この役にて今年のアカデミーの助演女優賞にノミネートされております。

リーの兄、ジョー・チャンドラー役にカイル・チャンドラー。
チャンドラーかぶり。

リーの息子、パトリック・チャンドラー役にルーカス・ヘッジズ。
あのパパでこのひょろひょろの子…!
パトリックもまた不安定な人物。ひょろひょろさが敢えてよかったのかも。なんて。
ルーカス・ヘッジズ結構好きなので今後の活躍にも期待。
この役にて今年のアカデミーの助演男優賞にノミネートされております。


【雑感その2】
わしは主人公のリーに共感できたので彼の感情の起伏が激しいのも
気にはならなかった。
一方で元妻のランディはダメだった。
自分は新しい幸せをつかんで前進しているけど
リーは乗り越えられないわけでそういうところを彼女は全く理解できていないように
思えて自分勝手さが好きではなかった。
あと葬儀に彼の前に堂々とベビーを連れてくること自体どうなの?
っておもってしまった。
やっぱり女は割り切り早いな、と思った。
リーとランディの道端での再会シーンはこの映画の見所のひとつでもあると思う。

甥のパトリックに対してもどちらかと言えば親近感があるかな。
冷凍チキンに怯える気持ちもちょっとわかるし。 ふふ。
こわいよね。
絶対自分もそうなるもん。
どこか父親の死を他人事にしてるように見えてそういう雰囲気も好きでした。
あ、そうそうアイスの食べかけポイ捨てはよくないだいかん

マンチェスターの景色とそこに住まう人たちの
ほんの人生の一瞬に過ぎない出来事。(どんな作品もそうなんだけど)
決してハッピーエンドじゃない。でもそれが悪いことではない。
最初に書いたとおり、そう、それでいいんだよ。少しつづで。と思う映画。
できれば大きいスクリーンで町並みと雰囲気を感じつつ
鑑賞して欲しいな、と思いました。
わし的には今年見た映画ではトップクラスに好きです。
ヒューマン系好きなんでね。


2017-⑩