アリスのままで | Every Little Step (新)

Every Little Step (新)

りおうさんの更なる進化を求めて。

アリスのままで(原題:STILL ALICE)
2014年アメリカ 日本公開2015年6月
監督リチャード・グラツァー/ウォッシュ・ウエストモアランド
ジュリアン・ムーア/クリステン・スチュワート/アレック・ボールドウィン/ケイト・ボスワース
画像
(C)2014 BSM Studio. All Rights Reserved.

【雑感その1】
主演のジュリアン・ムーアがオスカーを獲った作品なので
是非見たいと思っていました!
なんたってわしはゴーン・ガールのロザムンド・パイク推しでしたからね!
この映画は
簡単に言えば若年性アルツハイマーに苦しむ女性とその家族の物語。
でもこれって解決できるようなことじゃないよね。
なので物語として最後をどうもっていくのかなぁと。
そういう意味でも興味はありました。
実在のお話ではないのですが原作があります。
リサ・ジェノヴァの『静かなアリス』といいます。

映画の中でアリスは自分の病気をたやすく受け入れたように見えました。
普通ならわたしは全然ボケてないわっ。とかって意地を張ってしまいそうだけど
そうでもなかったなと。
そういう荒れた感じが非常に薄かった。
物語自体は非常にせまい世界で登場人物もほぼ家族に限られるので
見やすいかと思います。


【適当ななあらすじ】
言語学の学者であり幸せな家庭を持つアリス。
ある時から講義中に単語を忘れたり、カレッジをジョギング中に迷ったりすることを
きっかけに異変を感じるようになる。
そして出された診断が若年性アルツハイマー症だった。


【キャスト】
主人公アリスを演じるのはジュリアン・ムーア。
上にも書いたようにこの役で今年のアカデミー賞の主演女優賞にてオスカーを獲得。
まぁ納得ですわ。
この演技+今までの実績となればもう敵なしだったね。
オープニングからはバリバリのキャリアウーマンでプライベートも
充実している憧れてしまうような人生を送っていたのに対し
終盤では若年性アルツハイマーに侵されて
全く印象の違う女性になるという姿を見事に表現されていました。
でもまだまだ元気なときのアリスの姿がかっこよくて
ほんとにこんな風に年を取れたらいいなぁと思ったよ。

アリスの夫ジョン役にアレック・ボールドウィン。
なんとも表現しがたい。
個人的にだけどアレック・ボールドウィンってなんかちょっとクセのある
役どころをするイメージがあって。
今回もまぁなんというかすっきりしない夫役だったなぁと。

アリスの娘リディアにクリステン・スチュワート。
多分初めて動いてる彼女を見ました。
いつもは雑誌とかでしか見たことがなかった。
正直、雑誌でみる印象は良くはなくてあまり好きではなかったけど
動いているところをみたら あれ、なんか思ってたのと違う。
ってなった。
もちろん役柄のせいも多少はあるのかもしれないけど。
なかなかによい役でした。
映画【トワイライト】で主演を務めている女優さんです。

その他アリスの娘アナにケイト・ボスワース
息子トムにハンター・パリッシュなど。


【雑感その2】
この映画のみどころのひとつとしてはおそらく中盤くらいにある
アリスのスピーチだと思うんですよね。
あそこはちょっと泣ける。
あのあたりからアリスが急に変貌するような気がする。
でもアルツハイマーと戦っている姿がいかにもインテリらしい対峙の仕方というか
現代的だなぁと感じました。

好きなシーンは夫のジョンとアイスクリームを食べてるところ。
セリフはしっかり覚えてないんだけど
ジョンが (新しい土地へ)行かないか? みたいなことを言った時に
アリスが アイスを食べてるのに、もう行くの? という感じの答えをした場面。
すごく突き刺さった。
漠然とあぁ、アルツハイマーってこういうことなのかって思った。

そしてアリスが残した未来の自分へのビデオレター。
それを見て指示どおりにすることすらかなわない。
そしてそれをすることすらアツルハイマーに罹ってはできないという恐ろしさ。
自分の意思はどこにあるのか。
ラストシーンは綺麗に収めているけど綺麗過ぎてちょっと物足りないかな。
この映画を見て感動して涙を流しているのって
ちょっと違うと思うんだよね。
自分に明日訪れるかも知れない恐怖に涙するならわかるんだけど。
やはり自分もある程度の年齢だし、親もそうだし。
現実としてそういう日が近づいているのかもしれない。
この映画はヒントにはならないけれど
『知る』という上ではよい作品なのではないかなぁなんて思ったりしました。


余談ですが
監督のリチャード・グラツァーは撮影時に
ALS(筋萎縮性側索硬化症)に罹っており
パートナーであるウォッシュ・ウエストモアランドと共にメガホンをとって
作品を完成させました。
が、今年の3月に63歳で亡くなられました。

2015-⑩