今夜は雲が夜空を隠すから

月は密かに逢瀬を渡る






初めて会った人に

懐かしさを感じる如くに


「あぁ、この指先を知っている」

と思うことがよくある






あなたが今日を駈けるのなら

私は明日を想う



あなたが刹那に生きるのなら

私は刹那を永久へと紡ぎ続けよう





今日は何かと音(オン)に変換される日らしい


触れる景色に呼応して

耳の奥ではメロディーがこだまし

頭の中では楽譜のようなものが

高速で流れていく


早すぎて見えなくて

私はそれを音(オト)にする術を知らない


こんなとき

あなたがそばにいればいいのに


もしくはせめて

音(オン)を感覚の海に流すから

音楽家がとらえて

美しい旋律にしてくれないものかと





キッチンの窓を明けると

さらりと風が入ってくる



その風は顔にかかる髪を揺らし

頬を撫でていく



愛とはこういう所作のこと



自然に瞳を閉じ 笑みが溢れる