音楽Q&A♪
~楽器問わず、何かのヒントになればとの思いから、音楽・楽器の疑問や悩みを自問自答します♪
Q:「二拍三連(にはくさんれん)」って何ですか? リズムがいまいち分かりません…。
A:『二拍三連』は字の通り、『二拍に三連符を入れたリズム』になります。 長年音楽をされている方でも「実はあまり深く考えず、なんとなく感覚的に演奏している…。」といったケースもありますが、似て非なる『付点音符のシンコペーション』のリズムとの違いも考え、数字で分析していくと、『その違い』が理解できるかと思いますので、今回は譜例を交えて説明し、「タアタ」で歌って理解してみたいと思います。
『二拍三連』は例えば、『四分音符2つ』の中に、『3つの音を均等に入れる事』を指します。この2つについては二分音符でも、八分音符でも何音符でも構いませんが、とにかく『2つの中に3つを均等に入れる』という事です。 厳密に言えば3つなので、完全に均等になる事はないのでしょうが、限りなく均等な感覚で入れていきます。
上の【譜例①】の2小節目は『二拍三連』の楽譜になります。 四分音符1つに3音を入れる所から考えます。 この場合、言葉で表すなら『一拍三連』となりますが、この場合は『一拍』はわざわざ言わずに、ただ『三連符』と呼びます。
一拍に3つを入れると、一小節だと3×4で12個の音が並びます。 敢えて頭にアクセントを付けるとリズムが取りやすいと思いますが、言葉でいうなら『タタタ タタタ タタタ タタタ』となります。
(※下線部は1、2、3、4拍目の「拍の頭」です。)
そして、この12個の音は4拍の中にあるので、2拍で考えれば6個の音があります。 つまり、この6個の音を3つに分ければ『二拍三連』となります。 6÷3=2個ずつの音ですので、つまり『四分音符2つの中に、「2+2+2」を入れ込めば良いわけです。
上記楽譜の3段目の楽譜で、アクセントの箇所を「タ」、それ以外のタイで括られた部分を「ア」で歌います。
(※可能であれば、机を四分音符のリズムで叩きながら、歌うと良いです。)
① タアア タアア タアア タアア
② タア タア タア タア タア タア
(※中途半端に改行になると見にくいので、①1小節目と②2小節目に書き分けます。)
上のままだと、2小節目は「拍頭」と「タ」がズレているので見にくいし、歌いにくいかと思います。
ただ、『ズレているのが正しい二拍三連』です。
これを「一拍単位」で見やすくするならば、
① タアア タアア タアア タアア
② タアタ アタア タアタ アタア
となります。 この感覚で歌うと、より『二拍三連』を感じ取れるのではないでしょうか?
このタの部分だけを取り上げると、一小節目はふつうの四分音符4つで、二小節目は『二拍三連』を2回歌った事になります。
これで、二拍三連の理屈はおしまいですが、似て非なるリズムに『付点音符とタイで構成するシンコペーションのリズム』があります。
※『シンコペーション』自体は「イレギュラーな箇所にアクセントをつける意味」ですので、このリズムだけを指す言葉ではありませんが、【譜例2】の2小節目がシンコペーションのリズムの一例ですので、以下、単に『シンコペーション』と呼びます。
【二拍三連】の場合は基礎となる音符を三連符で考えますが、この『シンコペーション』の場合は、普通の16分音符4つを基礎にして考えます。
『二拍三連』の場合は2拍の中に『2+2+2』で均等に3つを入れますが、指折り数えてみると『シンコペーション』だと、2泊の中に『3+3+2』ですので、均等ではなく、最後の音が少し短いという事になります。
これを先程のように『タとア』で歌うなら
① タアアア タアアア タアアア タアアア
② タアア タアア タア タアア タアア タア
となります。 前回と同じように「一拍単位」で見やすく書くなら
① タアアア タアアア タアアア タアアア
② タアアタ アアタア タアアタ アアタア
以上が、シンコペーションのリズム説明になります。
「タ」だけを、パッと聴いた感じでは、2つのリズムの違いが分かりにくいかも知れませんが、このように、「タアタ」で拍頭を意識しながら、イレギュラーに入ってくる「タ」を強調して歌えば、リズムが理解できるはずです。
ちなみに2つのリズムを並べて比較すると、イレギュラーな「タ」のズレが理解しやすいかと思いますので、【譜例3】を参考にしてみて下さい。
このように、この2つのリズムは微妙にズレています。
捉えやすい感覚で言うと、「二拍三連」の方が2つ目、3つ目の「音の食い付き」がほんの少しだけ早い訳です。
「三連符」自体が割り切れない感覚ですので、なんとも言えませんが、細かく分析して理解すれば、明らかに2つのリズムは異なる物ですので、キチンと理解して使い分けたいですね
取り組む曲がハイレベルになれば、もっと難しいリズムもたくさん出てきますが、お互い頑張りましょう