音楽Q&A♪
~楽器問わず、何かのヒントになればとの思いから、音楽・楽器の疑問や悩みを自問自答します♪
Q:クラシックギターの指番号(運指)って必要ですか? 守らないといけないのでしょうか?
A:初心者の方は、楽譜に記載されている指番号等の指示は、基本的に守った方が良いかと思います。まず一度は、指示通りに練習してみて、「何か事情(意思)を持って変更する分」には問題ないとも思いますが、以下に私の考えを記載したいと思います。
クラシックギターの楽譜には、『左手の指番号1.2.3.4』や『右手のp.i.m.a』といった指使いに関する指示(指定)が書いてあるケースが多いかと思います。 また、逆に考えると書いている楽譜の方が助かります。
【左 手】 1:人差指 2:中指 3:薬指 4:小指
【右 手】 p:親指 i:人差指 m:中指 a:薬指
【弦番号】 ①1弦 ②2弦 ③3弦 ④4弦 ⑤5弦 ⑥6弦
なぜかと言うと、これら指番号等は、『演奏の手助けをしてくれる物』だからです。
私は昔、アコースティックギターをやっていて、その頃は『TAB譜』といった別の便利な譜面もあり、それはそれで助かるのですが、クラシックギターの指番号等を意識し始めてからは、そちらの方が、より機能的であると思うようになりました。
ギターには基本的にポジションという考え方があり、例えば1フレットを基準に考えれば、1フレットが1指、2フレットが2指、3フレットが3指、4フレットが4指…となります。
ハ長調の『ドレミファソラシド』を弾く時は、【譜例1】のようになります。
※ココでは右手の指記号は割愛します。
これは、指の流れを意識すると必然的に導きだされる運指となります。
私は小6からギターをやっていまして、中学性の頃にはよく友達にも教えたりしていたのですが、多くの初心者の方は、まず使いやすい指から演奏しようとします。
例えばですが、【譜例1】の場合だと、最初の『ド』を3指ではなく、いきなり2指(中指)で押さえる…といった感じでしょうか。 そして開放弦の『レ』を弾いた後に、また2指で『ミ』を押さえます。
そうすると何が良くないかと言いますと、左手のポジション(軸=固定位置)が一旦、左右にズレる事となります。 この軸がズレる事が「無駄な動き」であり、ズレてから元に戻る時には「不確定な要素」がひとつ増える事になります。
(※実際は【譜例1】の運指が全てではなく、他の運指も存在しますが、ココではあくまで一例という事で…。)
ギターは感覚的な楽器でもあり、ローフレット(1から5フレット程度)だけであれば、目をつむっていても弾けるものです。 フォークギターなど弾き語りする人は、この感覚だと思います。 ミュージシャンでも、歌いながら手元を見ている人は、ほぼいません。
つまり体に染みついている訳です。
管楽器などは、指の位置と穴の位置が決まっているので、指を見なくても吹けるかと思いますが、ギターも感覚を掴めば、同じように見なくても弾けるはずです。
ピアノなどは横に鍵盤が長く伸びていて、跳躍する場合などは、これが難しいかと思います。
ギターもハイフレット(9フレットや12フレットなど)への跳躍がある場合は、チラっとでも目視しなければ難しくなりますが、その瞬間だけ見て、ポジション移動をすれば、新たなポジションを基準に感覚で弾けるはずです。
少し話が難しくなってきましたが、この感覚を一日も早く養う為にも、初心者の方は、まず指番号を守って、正しい運指をマスターする事が大事かと思います。また『何故この運指なのか?』といった理由も考えながら練習すると尚良いかも知れません。
ちなみに、同じ曲でも色々な監修者(著者)の方の版が発売されていたりして、微妙に運指が違ったりします。
ギターはピアノと違って、ドレミファソラシド自体が様々なポジションで鳴らせるようになっています。
ですので、運指に絶対的な正解はなく、個々のプレイヤーが独自の考えを持って演奏しているものですが、Q&Aの冒頭に述べた、『意思を持って変更する』という事に関しては、前後の事情や、個人的な身体上の問題、音色の統一感など、総合的に判断して、良い音で効率的に弾けるのであれば、全く問題ないかと思います。
弦によっても音色が違います。例えば1弦開放で『ミ』を弾くのと、2弦5フレットで『ミ』を弾くのとでは、音色の柔らかさが違います。これはクラシックギターの魅力のひとつでもあります。![]()
より成長してくると、弦の指定や、指番号、指記号の奥深い意味も感じ取れるようになるかと思います。
ココは絶対変更できないかな…といった作曲者自身の意思による指定もあるので、一概には言えませんが、むしろどんどん効率的かつ魅力的な運指を導き出すべきだとも思います。
ただ、ココで申し上げているのは、『正に今時点が初心者である方』にとっては、『基本中の基本であるスケール(音階)の運指』などは、『まず楽譜記載の指番号どおりにキッチリと習得する必要がある』という事です。
そこをクリアすれば、成長が一気に加速するかと思いますよ![]()
そして、もう1つ大切な事は、慣れるまで、もしくは、「もう書く必要がないかな…」と思うまでは、指番号や指記号を楽譜に書き込む事をオススメします。
理由としては、毎回、都合で違う運指で練習するのではなく、正しい運指を沁みこませる為と、視覚的に見て、指が反応するので、その連動を早くする為です。 『見てから一瞬、頭で考えて押さえる』より、『視覚と押弦を連動させた方』が速いかと思います。
(※【譜例1】は書き込み過ぎかも知れませんが、最初はこの位でも良いかも知れません。)
ちなみにプロの方も実践されているようですし、私も、「まだ当たり前には弾けない複雑な曲」になれば書き込むようにしています。
また、この書き込みは一日でも早く書き込んだ方が良いそうです。 先生のアドバイスや、自身の考えで変更していく事はありますが、不明瞭で行き当たりバッタリな練習を続けるよりは、断然良いかと思われます
…とは言っても、割と頭を使う作業なので、私もついつい後回しになってしまうのですが、『急がば回れ』です![]()
【参考】↓私の書き込み楽譜(故郷/佐藤弘和 編曲版)
管楽器の楽譜でも、勉強の教科書でも何でもそうですが、視覚的な書き込みは記憶の定着にも役立ちます![]()
お互い頑張りましょう![]()
![]()
せっかくですので、楽譜指定の運指を守って弾いた『アニー ローリー』の動画を添えておきます![]()
『魅惑のギター・デュエット』(小胎剛 編 / ドレミ出版社)より



