音楽Q&A♪

~楽器問わず、何かのヒントになればとの思いから、音楽・楽器の疑問や悩みを自問自答します♪

  

Q:オカリナをカラオケ伴奏で吹く時にピッチが合わず困ります。オカリナのチューニングってどうするのでしょうか?

 

A:基本的にオカリナには抜き差しする管はありませんので、管楽器や弦楽器のような、いわゆるチューニングといった仕組みはありません。ですが、ピッチを操作する方法はありますので、以下に記していきたいと思います。

 

例えばフルートやクラリネットなどは管を抜き差しする事でピッチを操作出来ますが、オカリナは1つの個体ですので、それが出来ません。

(余談ですが、実は『オーボエ』もリード・上・下管・ベルと4つのパーツがあるものの、基本的に抜き差しはしないので、チューニングといった概念はありません。ですので、オーケストラでは他の楽器が、オーボエに合わせてくれます。だからと言って、好き勝手に自由という訳ではなく、実際はピッチの合うリード作りを目指します。)

 

一人で吹くのならまだ良いですが、カラオケやピアノ伴奏に合わせる時などは、明らかに低かったりすると困りますよね…。

11月に入り、これから寒くなりますので、余計に気になりますよね。

 

ではどうするのか…?

 

基本的にはオカリナ本体を両手の手のひらで包み、楽器を温めて上げることで、ピッチが上がります。

他の楽器もそうですが、楽器は基本的には暖かいとピッチが上がり、寒いとピッチが下がります。

 

ですので、事前に温める事もですが、演奏していて徐々に温まる事によってもピッチは上がります。

つまり一度合わせたから安心ではなく、常に周りの音も聴きながら、耳を使って音程を気にしている必要があります。

 

冬場はホッカイロなど使う方もおられるようですが、逆に温め過ぎると、本番出始めでビックリする位、上がってしまうので注意が必要です。この辺は、やはり経験も大切になってきますね。

 

以前の記事でも書きましたが、楽器は基本的に以下の性質があります。

 

小さい=高い 大きい=低い

短い=高い  長い=低い

狭い=高い  広い=低い

 

オカリナは『本体内部の空間が一番広い状態(つまり全ての穴を塞いだ状態)で一番低い音ラ』になり、『全ての指を離して穴を開放すれば最高音ファ』になります。(※C管の場合)

 

そして、少し経験のある方は気付かれているかも知れませんが、オカリナは、指を押し込むように、しっかり穴を塞ぐとピッチがほんの少しですが上がります。 逆に、軽〜く塞ぐと僅かですがピッチが下がります。

分かり易い音ですと、アルトC管で最低音のラなどは上ずりやすいのですが、軽く塞いで、遅い息を吹き込むとハマりやすかったりします。

 

これは「指の腹」が「本体内部」に僅かですが食い込むことによって、管内の体積が微妙に変化する事が原因かと思われます。

 

楽器によっては、普通にドレミを吹いてもキレイな音階にならない調律の場合もあるので、個体のクセを見極めて、指の圧力も僅かな操作をしています。ですが、正直なところ、これだけでは根本的な解決になるような変化はあまりありません。

 

これらの操作は、絶対こうするといった訳ではなく、楽器、季節、気温、吹いている時間など様々な要因が絡みますので、常に変化していくものです。先程も書いたように、常に耳を使って音程を気にする事が大事です。

 

以上が、基本的な考え方です。

 

大変長くなりましたが、実はここからが本題でして、今回は私が普段やっている、少し裏技的なピッチの操作方法を記しておきたいと思います。

 

皆様は小学生の頃に、リコーダーで『サミング』という操作を習った事を覚えてらっしゃるでしょうか?

 

オクターブ高い音を出す時などに、『左手親指(thumb)』を完全に塞がずに、ホンの少しだけ(数ミリ)開ける操作の事です。

↑左が通常の押さえ方で、右がサミング。

 

これに似た操作になりますが、オカリナは『最高音以外では、右手親指の穴はずっと塞ぎっぱなし』です。

 

この右手親指をサミングのような操作で、僅かに息を逃がすように開けてあげると、理屈上、ピッチが少し高くなります。

↑左が通常の押さえ方で、右がサミングみたいな押さえ方。

 

この右のサミングのような押さえ方をする事が、フルートやクラリネットでいう『管を深く差す=管を短くする』と事と同じ意味を持つようになります。

これによって寒い日の吹き始めなど、楽器が温まっていない状態でも、ピッチを底上げする事が出来ます。

 

難点としては、微調整が大切で、やり過ぎると半音くらい上がってしまう事と、そもそも『右手親指を必要としない最高音』では使えないという事です。 

(※私のようにギターも弾く方で、右手親指の爪が長い人は、少しやりにくいです…。私はオカリナの本番前は、穴に触れる辺りの爪を短くします。)

 

それでも上手に使えば、かなり有効な手段かと思います。

 

最初は低いので、こうして吹きながら、徐々に楽器が温まってくれば、普通の塞ぎ方に戻していきます。

 

理屈上、他の指でも同じ操作が可能かとも思いますが、大きい穴の方が操作し易いと思いますし、最高音以外で塞ぎっぱなしの右手親指が一番有効です。

 

ちなみに、この理屈は『穴の塞ぎ方を調整するもの』ですので、リコーダー下管の『薬指、小指の穴』が、半音操作の為に小さく2つに分かれている事と同じ理屈で、それのより細かい調整を感覚的にするという事になります。

↑小さく2つに分かれているので半音操作が出来る。

 

裏技はいろいろあるかと思いますが、皆様もぜひ試されてみて下さい。

 

キーがたくさん付いたフルートやクラリネットなどと比べると、オカリナは素朴で簡易な楽器ですが、その分、キー操作とは違った、奏者のアイデアや操作技術も問われる奥深い楽器です。

 

【要点まとめ♪】

①手のひらなどで温めてピッチを上げる。

②穴を塞ぐ、指の強さで音程を操作する。

③サミングに似た技術で、右手親指の穴を操作する。

 

②と③を絡めて併用していくと、より操作の幅が広がるかと思います。

いい音程感で魅力的な演奏が出来るようになりたいですね音譜

 

お互い頑張りましょう音譜ニコニコ


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