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さて、総持寺に着いた頃にはもう日が暮れてました。
総持寺は修験のお寺です
昔この近くに住んでいたこともあって、なんだかホッとします
小さな頃は
「掃除ジジイ」
って言って笑ってました
よく考えたら「総てを持つ寺」ってすごいですよね!
ご本尊は千手観音様
私が頂いた号の「せんじゅ」というのはひらがな表記が正式なのですが、その理由は、
千手、千樹、千呪、千修、千需、千秀、千壽、千咒、剪呪…etc.色んな漢字を当てることができますが、それらを全て使って人様のお役に立ちなさい、という意味が込められています
それだけ私の業は深いということです。
私の師はどれだけハードルを高くする気なのかと拝名した時ちょっと心苦しく思いましたが
千手観音様は沢山の手を衆生に差し伸べてお救い下さるそうです。
私も名前の通り千手観音様のようになれるよう特にしっかりとお祈りしてきました
勝尾寺に行けるわけないよなぁ、もう16:30だし…
勝尾寺は12月に護摩壇を組むお手伝いに行くから最悪その時でいっかぁ、と思ってネットを開いてみると、なんと閉館は18:00とのこと!
しかも総持寺から勝尾寺までは約30分
行かない手はないでしょう
ところが…
ちょうど勝尾寺の手前5kmくらいのところで全く動かない大渋滞
ナビの到着予定時刻は最初17:10だったのが17:30になり
「旦那、こいつぁ無理ですぜ。
事故かなんかに違えてぇでゲスよ。
ここは諦めて出直しやしょうぜ」
これまでどこにいたのでしょう?
いきなり天魔くんが椅子の下からにゅっと出てきて不満そうに言いました
こいつ、天魔なのに私が参拝に行くのを応援してくれてる
でも本当にそうかもしれないな。
別に今日無理して行かなくてもいいし
この混み方は事故だろうなぁ…
怪我人とかなかったかなぁ…
もう少し待ってみよう!
バックミラーを見ると、後ろの車に乗ってるカップルはかなり疲れ切っているようで男性は困惑気味
その横の女性は男性を労っているようです
そんなことを考えながら動くのを待っていたら到着予定時刻は17:50に
私もだんだんイライラしてきました
車置いて出張って行って交通整理してやろうか!
と思っていたら、夜間工事用のベストを着た若い男性が坂を降りてきたので状況を聞いてみると…
「勝尾寺のイベントで紅葉のライトアップしてるので駐車場に入れない車があふれてるんですよ!」
なるほど
これぞ神仏からのプレゼント
御朱印は貰えないかもだけど、これほど素晴らしいサプライズがあるでしょうか
すると後部座席からドンドコドンドンという太鼓の音と錫杖のシャンシャンという音が聴こえてきます
続いて轟音が!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
ヤバい!
また何か来て昼間に御不動様にこっぴどく叱られて思いっきり引っ叩かれるのか⁉︎
それだけはマジ勘弁
蔵王権現様!
「せんじゅよ、恐れんでもよい。
全ては神仏からの贈り物ということをよくぞ悟った。
そのことを忘れるでないぞ。」
あ、引っ叩かれることはなさそうだ
でも不動明王様はブレスレットから出てきたのはよくわかるのですが、蔵王権現様はどこから出てきたのだろう
「先日お前は金峯山寺にて我が朱印を受けたであろう?
朱印を貰うということはそこの神社仏閣、祀られておる神仏と縁を結ぶということの証なのじゃ。
よって軽々しく扱ったり粗末にしてはならん。
これが朱印の意味じゃ。
大切にするんじゃぞ」
なるほど、だから大切にしなきゃならないんだな…
ところで天魔くんは?
蔵王権現様の虚空を踏んでいるはずの右足に踏んづけられてる
「ぐるじい〜!
旦那、お助けくだせい」
蔵王権現様、天魔くんは天魔の仲間ではありますが、可愛いやつで私の心配をしてくれてる優しい奴なんです
だからどうぞお足をのけてあげてください
蔵王権現様は足元の天魔くんを見下ろし、
「ふむ。
天魔、外道とは何か、よく考えてみると良い。」
と言って足をお上げになり、すぅ〜っと消えていきました。
天魔くん、虚空を踏んでるはずの蔵王権現様の右足になんで踏んづけられてるんだろ?
「ふぅ、助かりやした
全く、この第六天魔王の眷属の天魔くんを踏みつけるたぁ太で奴だ!
今度現れたら覚えていやがれ!」
威勢だけはいっちょまえ…
結局駐車場に到着したのは18:40
でもそこには私が見たかった世界がありました。
この世に極楽が顕現するとすればこんな感じなのでしょう。
漆黒の闇の中…
ライトから元気いっぱいに飛び出した光の粒子が木立をつたって舞い上がり、秋の喜びで紅に染まった葉を脈が透ける程に美しく色添えます。
湖畔を漂うスモークでさえもそれを隠すことは出来ずに引き立て役に徹しています。
でも私が見たかったものは…
私が、本当に見たかったものは…
全ての人の幸せな笑顔
どんなお祭りでも泣いてる子がいたり、悲しそうな顔をした人を見かけます。
でも、ここではそんな人は一人も見かけませんでした。
もちろん暗闇に隠れていただけかもしれませんが
そこにはバカ笑いはありません。
あるのは幸せな微笑みだけ。
厳かな空気の中で、
男性も女性も、
老いも若きも、
大人も子供も、
サラリーマンっぽい人も、
ヤンキーも。
OLも、
女の子も。
皆それぞれ、心満たされて。
普段は絶対に神仏に手を合わさなさそうな人達も、信心深そうな人も、皆それぞれ神仏に手を合わせて。
静かに
穏やかに
心の温度を胸に抱き
それぞれの幸せを噛みしめながら
ここにいるみんな神様で仏だよ…
これが私が望んだ世界
天魔くんもダルマさんとにらめっこして楽しそう
生きてる人も、死んだ人も、木や草も、獣も、人外のものも、この世に存在する遍く全てのものが、
そうありますように。
これが私の願い
このような世界がこの場だけでなく、この世全体で具現化されますように。
こうして西国三十三箇所霊場本気巡りの初日を終えたのでした
続きます。
有難うございました!