羊水異常

妊婦エコーをやり始めて一番簡単そうに見えるんですが、意外と臍帯が邪魔したりして大変なんです。ガーン

羊水は羊水腔を満たす液体です。妊娠初期は絨毛膜や羊膜を通して母体血漿が漏出した液、または角化していない胎児皮膚を通して胎児血漿が漏出した液が主成分だろうと考えら得ています。

妊娠15週くらいより胎児尿および肺胞分泌物がしめる割合が増えます。胎児尿は12週くらいより産生されはじめ、末期には一日400-1200mlに達します。肺胞分泌物は気道を通して羊水に排出されます。妊娠32週頃に最大になり、その後減っていきます。

羊水量測定には侵襲的測定法と非侵襲的測定法があります。侵襲的測定法は現在あまり行われていません。非侵襲的測定法には①羊水ポケット②AFI(amniotic fluid index)があります。

羊水ポケット 

腹壁に垂直にプローべをあて、もっとも羊水腔が広くなる場所を描出し測定する。2cm以下を羊水過少、8cm以上を羊水過多と診断します。

②AFI 

臍を中心に左右・上下に4分割し矢状断に平行、冠状断に垂直にプローべをあて、もっとも羊水腔が広くなる場所を描出し4カ所の合計で測定する。(上の当て方と若干ニュアンスが変わります。僕にはそれによりどの程度誤差が生じるかは理解できません。)正常範囲は5-24cmです。AFI 4-6cmは羊水量250mlに相当すると報告があります。

羊水量

羊水量は初期から32週までは増加、また32-39週は横ばいで40週をすぎると減少すると言われています。

32-39週では平均777ml95%信頼区間 302-1997ml)です。42週では平均400mlまで減少すると言われています。

羊水過多

定義 羊水量 800mlを超えるとき(羊水ポケット8cm以上 AFI 24cm以上)

頻度 0.1-1.6%

原因 ①羊水の産生過多や②吸収阻害のいずれか

羊水の産生過多

尿産生の増加

(1)浸透圧性:母体糖尿病

(2)抗利尿ホルモン分泌低下:無脳症、中枢神経系異常(3)胎児循環の異常:胎児血管腫、胎児水腫、

           心奇形、双胎間輸血症候群受血時

胎児血漿成分漏出の亢進:無脳症、二分脊椎、臍帯ヘルニア、腹壁破裂

胎盤異常:絨毛血管腫

吸収阻害

嚥下障害:染色体異常、腹腔内腫瘍、胸水

上部消化管通過障害:食道閉鎖、十二指腸閉鎖、横隔膜ヘルニア、輪状膵

症状

母体 子宮収縮頻繁に 下腹部緊満感、呼吸困難、悪心嘔吐など

管理

多くの場合羊水除去が必要(21ゲージでエコーガイド下に)

急激な子宮内圧の減少が胎盤早期剥離や羊水塞栓を誘発する危険性があるので、羊水除去速度は400-500ml/hr1000-1500ml/dayとする。

インドメタシンが胎児尿抑制に関与し有用だという報告があるようですが、インドメタシン投与により胎児動脈管収縮や腎不全を誘発する可能性があるため日本では禁忌となっています。

羊水過少

定義 羊水量 100mlを下回るとき(羊水ポケット2cm以下 AFI 5cm以下)

頻度 妊娠初期から中期にかけては非常にまれ、41週以降では12%と言う報告もある。

原因 

先天異常による胎児尿産生障害 腎無形成、のうほう性腎異形成、尿路閉鎖

胎児尿産生の低下

胎盤機能不全による胎児低酸素症:妊娠高血圧症候群、過期妊娠、原因不明の胎盤機能不全

胎児臓器機能不全IUGR,染色体異常、先天性心疾患

薬剤性NSAIDSACE阻害薬

胎児感染

双胎間輸血症候群供血時

羊水の喪失 前期破水後の妊娠継続

管理

腎尿路系異常を持つ場合予後きわめて悪いそうです。羊水過少が長く続くと、胸郭への圧迫が強く加わることや気道への羊水吸引による刺激の欠如により肺の発達が遅れます。肺の低形成は予後を悪くします。

24週以降の症例では胎盤機能不全や胎児のnon-reassuringの所見を十分に検討し分娩時期、様式、今後の方針など厳密に議論する必要があります。

症例によっては経腹・経膣的に羊水注入する方法がありますが、感染面などから今後のstudyに期待することとします。