#545【ch-25】明治神宮 花菖蒲 | コトバあれこれ

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子ども作文教室、子ども国語教育学会の関係者による
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 黄色やピンクの春を告げるお花から、これから蒸し暑くなる時期に、爽やかで清々しさを感じさせてくれる紫陽花やアガパンサスなどブルー系のお花が目立つようになりました。

 この時期になると何となく気になるのが明治神宮の花菖蒲です。以前には毎年のように行っていましたが、もう、20数年一度も行きませんでした。

 JR原宿駅から神宮橋を渡って、20数年ぶりに大鳥居をくぐりました。参道をまっすぐ進み、まづ、本堂をお参りしました。

 

 明治神宮とは、東京都渋谷区にある神社です。第122代天皇の明治天皇と昭憲皇太后を御祭神として、大正9年(1920)11月1日に創建されました。

 明治神宮が出来る前は、江戸時代の初めは熊本藩主加藤家下屋敷の庭園で、その後、彦根藩主井伊家にうつり、明治維新後、皇室の御料地となり、代々木御苑と称されました。

明治天皇は静謐なこの地を喜ばれて、「うつせみの代々木の里はしづかにて都のほかのここちこそすれ」と詠まれました。

 その後、明治天皇がお身体のお弱かった昭憲皇太后の運動のためにと、遊歩庭園として明治36年頃に整備されました。この昭憲皇太后のために整備された庭園は、一般の日本庭園に見られる岩石類の築設物や強度に手入れをした庭木などはほとんど用いず、変化に富む地形を縫って緩やかに落ち着いた小径と簡素な小建築を適所に配置し、いかにも自然の中をゆったりと散策しているような気分を醸し出しています。また、菖蒲田も明治天皇のお指図によって、水田を改められたものです。明治天皇がこの地に行幸されたのは明治19年1月の1回のみですが、昭憲皇太后は明治42年6月までに9回行啓になっています。明治神宮の鎮座地が代々木に決定されたのは、この御苑が大きな理由の一つとされています。

 

代々木の杜の歴史「永遠の杜」づくり

 明治神宮は、明治天皇と昭憲皇太后をおまつりする神社です。およそ70万平方メートルの広大な鎮守の杜は、明治神宮創建にあたって全国から献木された約10万本を植栽し、のべ11万人の青年が造営工事の勤労奉仕を行い、「永遠の杜」を目指して造成された人工林です。

 造営にあたり、専門家たちは、何を植えたら「永遠の杜」になるかを考え、将来的に椎・樫・楠などの照葉樹を主な構成木となるように植えることを決定したのです。理由は大正時代、すでに東京では公害が進んでいて、都内の大木・老木が次々と枯れていったのでした。そこで、百年先を見越して明治神宮には照葉樹でなければ育たないと結論づけたのでした。ところが内閣総理大臣であった大隈重信首相は「神宮の森を藪にするのか、藪はよろしくない、杉林にするべきだ。」として雄大で荘厳なものを望んでいました。林苑関係者は断固として大隈重信の意見に反対し、谷間の水気が多いところでこそ杉は育つが、この代々木の地では不向き、杉が都会に適さないことを林学の見地から説明してようやく納得させたそうです。

 昭和20年4月、空襲により明治神宮の社殿の多くが焼失しましたが、杜は人々の避難の場となり、大きな被害は出ませんでした。燃えやすい針葉樹ではなく、照葉樹だったために延焼を免れたのかもしれません。

 造営当初、在来木等を含め365種類約12万本だった苑内の樹木は第二次境内総合調査によると、234種約3万6千本となりました。自然淘汰され、木々は大きく成長していました。また、新種や絶滅危惧種、都内では珍しい動植物を含む約3千種の生物が報告されました。

 

菖蒲田

 明治天皇が昭憲皇太后のために植えさせられた菖蒲田の花菖蒲は、造営当時は江戸系80余種植えられていましたが、現在は約150種1,500株の花菖蒲が咲き誇ります。この菖蒲田は、全体を一望することができず、小径を歩きながら鑑賞するように設計されています。途中、四阿(あずまや)や八つ橋などが配され、御祭神ゆかりの趣深い景観に、心まで清められます。

   令和6年6月11日更新 花菖蒲が3,798輪開花しております。

 

隔雲亭(かくうんてい)

 明治33年に明治天皇が昭憲皇太后のために建てられたご休所。戦火により焼失、現在の建物は昭和33年に再建されたものです。お茶室となっており、座礼の間と立礼の間があります。以前は清正井の湧き水でのお茶席がありました。

 

清正井(きよまさのいど)

 加藤清正が掘ったと伝えられる、都内有数の名湧水です。明治神宮の涵養力によって毎分平均60リットルの水量があり、水温は四季を通じて15℃程度と一定し、湧水は一年中絶えることはありません。

 

南池(なんち)

 御苑内にあり、御社殿の南側にあることから名付けられた南池。夏には睡蓮やコウホネの花が咲きます。水源は「清正井」で、南参道の新橋(しんきょう)の下を流れて渋谷川に注いでいます。池の周辺では野鳥が水浴びをする姿や、晩秋から初冬には渡り鳥が訪れるなど、神宮の杜の豊かないとなみを感じることができます。

 ちょうどアオサギがいて、羽を広げて日光浴をしていました。

 

お釣台

 南池に張り出した「お釣台」があります。昭憲皇太后はここで釣りをお楽しみになりました。明治天皇は「コイやフナを放しなさい」と侍従へ指示されたそうで、昭憲皇太后は、おつりになった魚はすべて水中に戻されていました。

 

 20数年ぶりに訪ねた明治神宮でしたが、菖蒲田の景色は変わらずたくさんの花菖蒲のお花を堪能することが出来ました。また、都会のオアシス、静かな佇まいで杜の風も心地よく、心の安らぐ時間を過ごすことができました。

 

新しい建物が出来ていました。

明治神宮ミュージアム      

テラスカフェ        

杜のレストラン

(chtaki 記)