#519 【RN-39】 二十四節季~季節の言葉~      2023.12.1   | コトバあれこれ

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子ども作文教室、子ども国語教育学会の関係者による
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 立冬(11月8日)の前日は季節外れの夏日を記録し、一時冠雪していた富士山頂も夏山の姿に戻ってしまった。その後の数日も同様で、13日になってようやく木枯らし1号が吹いた。天体運動は不変であるため、日の出・日没時間の変化によって暦上の季節の推移は認識してきたが、体感によるものは、春は短く夏は長く、秋と実感できる時候はほとんどなく冬を迎えた。今までの日本の四季の特徴は失われ、小春日和などは死語になってしまうのだろうか。

 

 国際通貨基金(IMF)が10月に各国の名目GDP(ドル建て)を発表したが、日本は人口が少ないドイツに抜かれて4位となった。2022年来の急速な円安の要因もあるが、日本の実質GDPの潜在成長率は0.5%(22年度)で、米国は1.8%、カナダ1.5%、フランス1.2%、ドイツは0.9%である。さらに、IMFは26年度に日本の名目GDPはインドにも追い抜かえると表明している。

 

 高度成長期までは有効であった日本の公的教育システムが硬直化したまま、グローバル化・技術の高度化・多様化への柔軟な対応が不十分の状態に屋上屋を重ねてきた。このような実態で30年の停滞から日本は今後本当に復活できるのであろうか。

 公立小中高の教員不足、不登校児童・いじめの急増などの根本原因の追究と対策に進展も見られずモグラたたき的対応が続いている。前者は公的教育の崩壊につながる可能性があり、その結果教育格差がますます拡大する。

 子どもたちの脳や心身の発育に応じた適正な教育が、ないがしろになる懸念がある公的教育の現状に保護者は危機感をいだいている。このため、私立の中学校、公立・私立の中高一貫校、大学付属中学校等への受験対策として、小学1年から塾に通わせる傾向が顕著になっていると報道されている。

 入試合格という目的のための塾のカリキュラムをこなす過程で習熟するものはあるが、これはあくまでも受け身の学習ではないだろうか。このような塾漬けの子どもたちが目指す大学を卒業したとしても、本当に日本の復活・成長・発展に寄与できるかは疑問である。

 

 子どもたちが授業時間外に適切な居場所を持つことが、自己肯定感の維持・向上につながることが近年強調され、空き教室を利用した放課後の活動などがNPOや自治体で試行されている。

 私たちの作文教室は、寺子屋の理念でリーダーを育成することをめざしており、生成AIのうねりがおしよせる中、子どもたちが主体性をもって自力で考える力をしっかり身につける指導を模索していきたい。

 

           

 

           

 

           

 

           

              家康の墓(西向き)

 

     令和5年11月12日   久能山東照宮(静岡市駿河区根古屋)