今回は、天文学的数字をいろいろ見ることにより、脳に新しい刺激を与えながら、
気分転換をしてみたいと思います。
世界中の人々が新型コロナウイルスの蔓延で先が見えない状況に怯えている昨今、
こういう話題で気分転換するのも悪くはないでしょう。
―――「地球は大きいのか? それとも、小さいのか?」
小学6年生のある日の昼休み、校舎の2階から校庭で遊ぶ生徒らを眺めていて
ふと思いつきました。いつも宇宙図鑑で見ていた天体の大きさや位置関係を校庭で
表わしてみたらどう見えるのかと考え、関連の数字を書き出して計算してみると・・
<天文学的数字の数々>
・地球の直径 12,756 km
・月の直径 3,474 km (地球の3.7分の一)
・月と地球の平均距離 38万5千km
・太陽の直径 139万2千km (地球の109倍)(月の400倍)
・地球と太陽の距離 1億4,960万 km (月までの距離の約400倍)
・光速 29万9千8百km/秒(1秒で地球をおよそ7回り半進む)
・光速で地球から月まで、約1.3秒かかり、太陽までは 8分19秒かかる
・1光年=光が1年かかって進む距離
=299,800km x 3,600(秒)x24(時間)x365(日)=9兆4,500億 km
これは、地球と太陽の距離(=1 au=1天文単位)の6万3千200倍!
・太陽系が含まれる銀河の直径=約10万光年
(=10兆kmの10万倍 =地球と太陽の距離の63万倍の距離!)
・この一つの天の川銀河系の端から端まで行くのに光速で10万年かかり、
距離は9兆4500kmの10万倍と途方もなく長い。
宇宙ではこういう銀河系が約50個で一つの銀河集団をなしており、その径
たるや300万光年という。こういう集団が数万個はあると言われている。
仏教でいう「無量無辺」とはおそらくこういう空間のことをいうのでしょう。
これだけ数字が並ぶと気が滅入ってしまい、天体間の距離のイメージも
沸いてきません。
そこで、地球-月-太陽というお馴染みの存在を取り上げ、その大きさと距離の
比率を手計算で算出しました。具体的に校庭の対角線の距離約100mを目安にして、
目印として、
【太陽】は運動会の玉転がしに使う白い球、
【地球】は1cmのビー玉と目印の棒
【月】は小石のかけらと目印棒)
を置いてみました。
そして、それらを2階から見降ろしたあと、校庭に出て歩いて見届けているうちに、
なんだか途方もないものを見ている感じと、とてつもなく小さいものを目にしている
という相反する意識に襲われました。
なんだか自分が途方もなく大きくなったように感じると同時に、地球はこんな小さな
天体であったのかと気づいた自分にうろたえたとも言えます。
途方もなく大きいと思っていた地球がこんなにもちっぽけな存在だったとは・・・
<校庭に置いた目印とその距離・間隔>
地球(1cm=10mmのビー玉)と太陽(直径1メートルの玉)が模式的にどういう位置
関係にあるかを計算したら、なんと太陽は117メート先に位置することが分かった。
お月さまは地球からほんの30cm先で、直径2.7mmの微小球にすぎないと分かり、
なんだか可哀そうな思いがしたものです。
他の生徒にもこの結果を見てもらおうとしたら先生もやってきて、こんな風に宇宙を
眺めたのは初めだと驚いていたのを思い出します。
<小さく、はかない地球>
小学6年生の当時(1959年)、世界人口は30億人弱でしたが、それだけの人がこんな
にも小さく狭い地球上で多くの国と人種に別れて住んでいることに改めて驚き、なぜ
いつまでも争いや憎しみがなくならないのかと、考え込んだのを思い出します。
いつも目にしていた光景、田んぼや山々、は言うに及ばず、日本という国、アジア、
北南米、ヨーロッパ、アフリカ大陸など、みんな砂粒ほどのちっぽけな存在ではないか。
政治も経済も、ましてや世界史など何も理解していない子どもでしたが、地球でさえも
宇宙的物差しで測れば取るに足らないほど小さい存在だと感じたこの強烈な体験は、
今も忘れることができません。
*次回は、「光の速度は一体全体、速いのか遅いのか?」について書く予定です。
以上 2020年3月10日 (atom石川 記)