「来てくれて、ありがとう」は、丁寧体!?
●若い人が目上の人に、「来てくれて、ありがとう」と,お礼を
言うのを耳にすることがあります。しかし、よく考えてみると何
かしっくりしないのは、どうしてでしょうか。
(来てくれて.、ありがとう)
●私も、孫の小学校から出品を頼まれていた絵画展に行った日、
その夜、孫が「じいじ、今日は学校に来てくれて、ありがとうー」と
嬉しそうにお礼を言ってくれましたが、なんとなく違和感を覚え
ました。
●孫にとって祖父は身内なので、「来てくれて、ありがとうー」で
いいでしょうが、他の人であれば。「来てくださって、 ありがとう
ございます」というのが、丁寧な形になります。とはいえ、小学生
に、そこまで完全な敬語を使わせるのは無理だと思います。
●ただ、次のような場合は、どのような違いがありのかを、考えて
みるのも面白いですね。
・「来てくれて、ありがとうございました。」
・「来てくださって、ありがとう。」
この二文を考えてみると。敬語表現の不整合という点では共通
していますが、前者に比べて後者の方がが、ずっと自然に感じ
られないでしょうか。
●「来てくれて」の主語は聞き手で、しかも、感謝する相手のこと
になります。つまり、感謝する相手は敬うべき人なので、敬語を
使うのが当然だといえます。
このように「~くださって」と言うべきところを、「~くれて」と言うの
は、言葉が長くなって言いにくいし、いかにも敬語を使ったような
感じになるのでしょう。
●もう一つ別の例を見てみましょう。先週終わったばかりの平昌
のオリリンピックでは、入賞者がまるで口を合わせたたように、
「みんなが応援してくれたから、なんtokaメダルが取れました」と
言っていました。さらに、「恩師の〇〇先生がわたしに電話して
くれて、うれしかったです」とインタビューにこ答えていました。
●これなどは、「みんなが応援してくださったから」や、「~わたし
に電話してくださって」と言うべきでなないでしょうか。前者は個人
が相手ではなく、特に相手を高めなくてもいいのですが、後者は
恩師という特定の個人をさしているので、やはり敬語を使う必要
があると思います。
●このようにちょっと気をつけてみると、日常会話の中に気になる
表現が散見されますので、みなさんも注意して観察するのも面白
いでしょうね。
(いや~、どうも)
<参考資料> 北原 保雄著 『しっくりこない日本語』
(小学館新書、2017)
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次回に続きます。