♯0051 【kubotan-34】:気になる「来てくれて、ありがとう」(2018.03.12) | コトバあれこれ

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子ども作文教室、子ども国語教育学会の関係者による
投稿記事ブログです。

 

        「来てくれて、ありがとう」は、丁寧体!?

 

●若い人が目上の人に、「来てくれて、ありがとう」と,お礼を

言うのを耳にすることがあります。しかし、よく考えてみると何

かしっくりしないのは、どうしてでしょうか。

  

        

   (来てくれて.、ありがとう)    

 

●私も、孫の小学校から出品を頼まれていた絵画展に行った日、

その夜、孫が「じじ、今日は学校に来てくれて、ありがとうー」と

嬉しそうにお礼を言ってくれましたが、なんとなく違和感を覚え

ました。

 

●孫にとって祖父は身内なので、「来てくれて、ありがとうー」で

いいでしょうが、他の人であれば。「来てくださって、 ありがとう

ございます」というのが、丁寧な形になります。とはいえ、小学生

に、そこまで完全な敬語を使わせるのは無理だと思います。

 

●ただ、次のような場合は、どのような違いがありのかを、考えて

みるのも面白いですね。

 

  ・「来てくれて、ありがとうございました。」

  ・「来てくださって、ありがとう。」

 

この二文を考えてみると。敬語表現の不整合という点では共通

していますが、前者に比べて後者の方がが、ずっと自然に感じ

られないでしょうか。

 

●「来てくれて」の主語は聞き手で、しかも、感謝する相手のこと

になります。つまり、感謝する相手は敬うべき人なので、敬語を

使うのが当然だといえます。

 

このように「~くださって」と言うべきところを、「~くれて」と言うの

は、言葉が長くなって言いにくいし、いかにも敬語を使ったような

感じになるのでしょう。

 

●もう一つ別の例を見てみましょう。先週終わったばかりの平昌

のオリリンピックでは、入賞者がまるで口を合わせたたように、

「みんなが応援してくれたから、なんtokaメダルが取れました」と

言っていました。さらに、「恩師の〇〇先生がわたしに電話して

くれて、うれしかったです」とインタビューにこ答えていました。

                                                                  

●これなどは、「みんなが応援してくださったから」や、「~わたし

に電話してくださって」と言うべきでなないでしょうか。前者は個人

が相手ではなく、特に相手を高めなくてもいいのですが、後者は

恩師という特定の個人をさしているので、やはり敬語を使う必要

があると思います。

 

●このようにちょっと気をつけてみると、日常会話の中に気になる

表現が散見されますので、みなさんも注意して観察するのも面白

いでしょうね。

 

     

                               (いや~、どうも)

 

            <参考資料> 北原 保雄著 『しっくりこない日本語』

                                (小学館新書、2017)

 

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次回に続きます。