「小郡系」と称されるラーメンが存在する。
赤い辛味タレを投入するのが特徴的なラーメンである。今や世界的企業に成長を遂げた「一蘭 」は元々、小郡市にあった会員制ラーメン店で、全国にその名前を轟かせていたらしい。小郡系の源流だ。この一蘭を巡っては、なにやら諍いが起こったりしてて、わだかまりが燻ぶっているようだ。情報源はネットや、ラーメン本の記述のみなので、ただラーメンを消費するだけの呑気な遊冶郎たる僕には、はっきりとした事は分からないけれども。
で、僕は小郡市小郡1511-1、500号線沿いにどん、と迫力ある店構えの「元祖ラーメン まるたま」さんを訪問した。ただラーメンを食べたいだけだった。それ以外の理由は無い。荘厳な神殿のような赤い枠組みの外観が青空に良く映えていた。
開店直後にも関わらず、程よい豚骨臭が漂う店内には、既に先客がちらほらといる。繁盛している様子だ。衝立が設けられた対面式のカウンター席に腰を下ろす。隣りの客は豪勢にセットを注文し、僕は単品で「ラーメン」480円を頼んだ。余り金を遣いたくなかった。守銭奴の本領発揮だ。
小郡系の象徴たる「辛味スパイス」が卓上に配備されている。自分仕様に味をカスタマイズ出来る。
ラーメンの中心に辛味スパイスを盛り付け、僕は写真を撮った。生粋のナショナリストなら日の丸の赤い部分の比率くらい大量投入してしまいたくなる衝動に駆られるかもしれないが、思い止まった方が無難だろう。後で店の人が補充するのが大変だろうし、辛くなり過ぎてラーメンの味jが台無しになるに決まっているからだ。
スープ表面にうっすら膜が張っていた。ラードが浮いてる感じだ。結構塩気が強く、濃いスープだけど飲み口は比較的あっさりしている。麺は細めな低加水麺である。辛味スパイスで味に深みとコク、旨味が生まれるのかと過度な期待を抱くが、単に辛さが増しただけだった。麺とスープの割合のバランスにより、僕は思わず替玉(120円)注文を叫びたくなる。喉元まで迫り上がった言葉を、僕の良心が寸前で食い止める。
(…耐え難きを耐え、忍び難きを忍ぶ)
僕は卓上にあった高菜を麺とみなして残った豚骨スープに投入する。それは勿論、麺の味は全然しないわけであるけれども、口淋しさをカバーする代用品には成り得る。替玉の誘惑に負けそうになったら是非試して欲しい。想像力勝負だ。ガッツ。
